モルカーボールにZoomの活用も コロナ禍で変化する“応援上映”の形

コロナ禍で変化する“応援上映”の形 

Zoomで応援? 火付け役となった『KING OF PRISM』の現在

 『KING OF PRISM by PrettyRhythm』は、2013年に放送されたテレビアニメ『プリティーリズム レインボーライブ』に登場する男子グループに焦点を当てたスピンオフ作品として、2016年に公開された。公開当初は成績が振るわなかったものの、観客が参加することを前提とした作品スタイルが話題を呼び、SNSを中心に口コミとして広がったことで、上映館数は14館から約100館、興行収入8億円の大ヒットとなった。その後も劇場版、テレビシリーズが製作され、『KING OF PRISM』シリーズは、今年で5周年を迎えた。

 そんな記念すべき節目の年である今年、『KING OF PRISM』シリーズは新たなスタイルの応援上映会を開催した。それが「Zoom」を用いた応援上映である「PriZoom上映会」だ。当初、5周年を記念したCDアルバム、Blu-rayの特典として行われたこの上映会は、どこからでも参加できるため、応援の自由度が非常に高く、ユニークな応援スタイルが多く誕生したことやSNSなどでのファンの盛り上がりにより現在も定期的に開催されるまでに至った。

 「PriZoom上映会」では、画面の中心に本編が上映され、その周りにランダムで参加者たちが映し出される。定番の応援スタイルはもちろん、部屋をキャラクターのグッズで飾り付けたり、本編に登場する料理を作って食べてみたり、自作のアバターを映し出してみたりとオンラインならではの自由な応援スタイルが続々と登場し、大きな魅力となっている。また、セリフの書かれたボタンを押すことで応援ボイスが鳴るシステムや声優の出演、オンライン背景の配布、キャラクターからのメッセージなど特典や機能も開始当初から徐々に追加され、オンライン応援上映会として独自のスタイルを確立しつつある。

 一方、Zoomでの配信ということもあり、トラブルや本編の画質の悪さも見られる。そのため現時点では応援を楽しみたい、繰り返し本編を観ているファン向けの上映スタイルであり、すぐに新しい上映スタイルとして地位を確立するのは難しい。しかし、現在進行形で改善を重ね、形作られつつある「PriZoom上映会」は、新たな上映スタイルの先駆けとなるかもしれない、注目すべき上映スタイルだと言えるだろう。

コロナ禍で変化し続ける応援上映の今後は?

 ここまで見てきたようにコロナ禍の今、応援上映は音を活用した映画館での上映や、オンライン上映などの新たなスタイルが続々と誕生している。これらの画期的な上映スタイルが登場している反面、やはり従来の応援上映のように映画館で声を出して思いきり応援したい、他のファンとの直接の交流を楽しみたいという声も散見され、コロナ禍での応援上映はまだまだ進化の余地があるように思える。

 しかし、コロナ禍で誕生した上映スタイルを終息後も取り入れることで、応援上映はより新たな段階へ進むことができるだろう。オンラインと映画館を連動させた応援上映や、声援だけではなく音をより活用した応援上映が登場しても面白い。

 コロナが終息した世界でまた、新しい応援ができる日が来ることを非常に待ち遠しく思う。

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