『マスカレード・ナイト』で怪しい人物に? 木村佳乃、高岡早紀、麻生久美子らの華やかさ

“笑み”や“涙”で見る者を翻弄する仲根緑(麻生久美子)

 仲根緑(麻生久美子)もまた、一人で「ホテル・コルテシア東京」を訪れる宿泊客。そして彼女もまた、ほかの宿泊客と同様にどこか謎めいた人物。先に挙げた二人と比較すると、この仲根という人物はもっとも、刑事の新田やホテルのコンシェルジュである山岸尚美(長澤まさみ)らとの関わり合いを持つキャラクターだ。豪奢な格好をした人々の中では、アースカラーの衣類で全身を固めた彼女の姿はかえって観客の注意を引き、仲根が浮かべる“笑み”や“涙”などの一つひとつに翻弄されることになるだろう。

 こうして映画作品に顔を見せるのが、2019年公開の『いちごの唄』ぶりのこととなった麻生久美子だが、放送を重ねるごとに話題を集めた『MIU404』(2020年/TBS系)における機動捜査隊の硬派な隊長役が強く印象に残っている一方で、現在はオダギリジョーが脚本と演出を務める『オリバーな犬、 (Gosh!!)このヤロウ』(NHK総合)での弾けた姿も話題だ。キャリアを振り返ってみれば、『インスタント沼』(2009年)などの独自の世界を展開するコメディ作品や、『ばしゃ馬さんとビッグマウス』(2013年)のようなテンションの高い作品、『散り椿』(2018年)といったシリアス色の強い作品にまで適応する、「なんでもござれ」な俳優である。その演技巧者ぶりが、本作でも見られるはずだと断言したい。

 “ミステリー”の側面が強い『マスカレード・ナイト』において、その謎を解くカギを握るキャラクターに扮する木村佳乃、高岡早紀、麻生久美子ら。彼女たちの存在があることで、前作とはまた異なる色味を本作は得ている。

■放送情報
『マスカレード・ナイト』
全国公開中
原作:東野圭吾「マスカレード・ナイト」(集英社文庫刊)
脚本:岡田道尚
音楽:佐藤直紀
監督:鈴木雅之
出演:木村拓哉、長澤まさみ、小日向文世、梶原善、泉澤祐希、東根作寿英、石川恋、中村アン、田中みな実、石黒賢、沢村一樹、勝村政信、木村佳乃、凰稀かなめ、麻生久美子、高岡早紀、博多華丸、鶴見辰吾、篠井英介、石橋凌、渡部篤郎
配給:東宝
(c)2021東野圭吾/集英社・映画「マスカレード・ナイト」製作委員会
公式サイト:https://masquerade-night.jp

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