第78回ヴェネチア国際映画祭を総復習 話題になった人物、最も絶賛された作品は?

第78回ヴェネチア国際映画祭を総復習

 9月1日から開催されていた第78回ヴェネチア国際映画祭が、9月11日に無事閉幕した。カンヌ、ベルリンと並ぶ世界三大映画祭の1つであるこの祭典は、韓国人として初めて審査委員長を務めたポン・ジュノの印象的なスピーチで幕を開けたことも話題となった。彼は「コロナによって、韓国はもちろん世界中のフィルムメイカーたちが、去年から今年にかけて、非常に困難な時期を過ごしました。しかしある意味で、振り返ってみると、これは試練のようなもので映画の生命力を証明したとも言えます」と語った。そして「映画監督として、映画の歴史がそう簡単に終わるとは思いません。コロナは過ぎ去り、映画はつづいていくでしょう」と希望のメッセージを付け加えた。

 どの映画祭でも、華やかなレッドカーペットや各受賞作品、批評家からの評判など、気になることは満載。今回は、そんな今年のヴェネチア国際映画祭の話題をまとめて紹介しよう。

レッドカーペットの注目を集めた2組

 ドレスアップした俳優陣が登場するレッドカーペットで、今回最も注目を集めたのは、なんといってもオスカー・アイザックとジェシカ・チャステインの2人だろう。HBO Maxのオリジナルシリーズ『Scenes from a Marriage(原題)』の宣伝のため揃って登場した彼らは、報道陣を前にしたフォトコールの最中に、まるで本物の恋人同士のようなイチャイチャをはじめたのだ。アイザックがチャステインの腕にキスしたり、チャステインもアイザックの顔を両手で包んで見つめ合ったりと、彼らのラブラブっぷりは、その様子をスローモーションにされたクリップがSNSで拡散されるほど注目を集めた。

Jessica Chastain Explains Viral Video Of Oscar Isaac Kissing Her Elbow

 彼らは2人とも既婚者だが、この件について彼女は、9月9日に放送されたアメリカのテレビ番組『TODAY』で次のように語っている。「ちょっとしたお芝居だったんですが、オスカーとは以前から友達です。彼と私は大学も一緒だったし、人生の半分以上を友達として過ごしてきました」。そして拡散された動画については、「スローモーションになってるから、すごくおかしい」と笑った。「私が前を向いてて、ちょうど彼をハグしようとしたときに、彼の顔が私の脇の下に当たったんですよね。彼もジョークを言ってました」と振り返っている。どうやらこのイチャラブは、彼らが深い友情で結ばれている証のようだ。

ベン・アフレックとジェニファー・ロペス(写真:REX/アフロ)

 もう1組注目を集めたのは、ベン・アフレックとジェニファー・ロペスのカップル。アフレックはリドリー・スコット監督の『最後の決闘裁判』で、脚本と主要キャストを務めている。9月10日に行われた同作のプレミアで、彼は4月に復縁したばかりのロペスを伴って登場した。2人が揃ってレッドカーペットを歩いたのは、2003年のベン・アフレック主演作『デアデビル』のプレミア以来。当時2人は婚約していたが、翌2004年には婚約を解消。その後それぞれ別の相手と結婚したが、2001年に入って2人とも離婚している。そんなかつてメディアを騒がせた、“ベニファー”が復活したのだ。これにはファンから多くの喜びの声が上がった。そして今回、2人がそろってレッドカーペットに姿を現したことで、大きな注目を集めた。

最も長くスタンディングオベーションを受けた作品は?

『スペンサー(原題)』(c)Pablo Larrain

 今回のヴェネチア国際映画祭では、メインコンペティションに21作品が出品された。そのなかで、長くスタンディングオベーションを受けた作品を紹介していこう。まずは、クリステン・スチュワートが英ダイアナ元皇太子妃を演じる『スペンサー(原題)』だ。メディアによって違いはあるものの、同作は3分~5分のスタンディングオベーションを受けたと報じられている。スチュアートの繊細な演技が高く評価されたようだ。銀獅子賞(監督賞)を受賞したジェーン・カンピオン監督の『パワー・オブ・ザ・ドッグ』は、4分間のスタンディングオベーションを受けている。トーマス・サヴェージの同名小説をもとに、監督自らが脚本を執筆した本作は、ベネディクト・カンバーバッチやジェシー・プレモンス、キルスティン・ダンストらの豪華キャストでも注目の作品だ。フィリピンのエリック・マッティ監督による『On The Job: The Missing 8(原題)』も、5分間のスタンディングオベーションを受けた。同作では主演のジョン・アルシラが男優賞を受賞している。

『DUNE/デューン 砂の惑星』(c)2020 Legendary and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

 そして招待作品である『DUNE/デューン 砂の惑星』。こちらもメディアによってばらつきがあるが、6分~8分のスタンディングオベーションを受けたと報じられた。ティモシー・シャラメやゼンデイヤなど、Z世代のスターが出演し、ドゥニ・ヴィルヌーヴが監督を務める本作。『ノマドランド』(2020年)のクロエ・ジャオ監督も「この映画体験に、ただただ圧倒されました」とコメントを寄せている。しかし、最も長くスタンディングオベーションを受けたのは別の作品だ。ペドロ・アルモドバル監督による『Madres Paralelas(原題)』は実に9分もの間、会場が拍手に包まれた。同作では、主演のペネロペ・クルスが女優賞を受賞している。批評家や観客の心を動かしたこれらの作品が、日本でも公開されるのが待ち遠しい。

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