木村昴はいかにして人気者になったのか ジャイアン役から『仮面ライダー』主演に至るまで

 令和の仮面ライダーシリーズ第3弾『仮面ライダーリバイス』(テレビ朝日系)が、2021年9月より放送スタートとなった。実家が銭湯の普通の青年・五十嵐一輝と、彼の内側にいる悪魔バイスの2人がそれぞれ仮面ライダーリバイと仮面ライダーバイスに変身し、共闘するというバディ物の要素が入っている。この作品で一輝と並ぶもう一人の主人公、バイスの声を担当しているのが声優の木村昴だ。木村は2005年に『ドラえもん』の2代目ジャイアン役として声優デビューしたが、当時はまだ中学生だった。それから16年、彼は才能を次々と開花させ、アニメーションの仕事のみならず、洋画吹き替えやテレビ番組のメインMCと活躍の場を広げている。木村昴の名を聞いても「ジャイアンの声の人?」という印象の人に向けて、木村の活動を振り返ってみたい。

 木村は長年『ドラえもん』に専念して、他のアニメの仕事をしないできたが、幾原邦彦監督のテレビアニメ『輪るピングドラム』(2011年)のオーディションに参加したことで転機を迎える。美形キャラクターの高倉冠葉を演じて、ジャイアンのイメージから脱皮した。長く演じ続けたジャイアンの芝居の癖がなかなか抜けず、苦労をしたと本人も振り返っている。以降は『ピンポン THE ANIMATION』(2014年)の佐久間学 、『暗殺教室』(2015年)の寺坂竜馬、『ブブキ・ブランキ』(2016年)の新走宗也と、順調にメインキャラクター役を演じて足場を固めていった。特に『アクダマドライブ』(2020年)のチンピラ役は、ワルに憧れながらも情に流されやすく、ワルになりきれない心優しい悪党で、まさに木村の声質と人柄を活かした良きキャラクターだった。

 『ドラえもん』の世界で音痴キャラのジャイアンを演じているのとは正反対に、木村自身は歌が上手く、Netflix限定配信アニメの『DEVILMAN crybaby』(2018年)ではラップミュージック好きな5人組キャラクターの1人を演じており、また3DCG映画『スモールフット』(2018年)の日本語吹替版でもイエティ(雪男)のミーゴ役で自慢の歌声を披露した。さらに木村の歌唱力とラップ好きを世間に広めたのが、キングレコードのメディアミックスプロジェクト『ヒプノシスマイク』、通称ヒプマイだ。テレビアニメ『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』(2020年)では、山田一郎役で得意のヒップホップを披露して人気を博しただけでなく、同作のLIVEステージも積極的に出演している。

 ドイツ人の父と日本人の母との間に生まれ、父親はオペラ歌手、母親は声楽家で、木村はドイツ語と英語が喋れる上に幼少期から歌が大好きというサラブレッド。顎ヒゲを生やしたワイルドな外見に似合わず、とっつきやすくて人当たりが良いのが高ポイントなのか、今や洋画、アニメ、音楽と多方面で引っ張りだこになっている。

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