“韓国の恋愛ドラマ”に不可欠なはずの要素がない? 『わかっていても』に感じた可能性

 私が見つけることのできた材料は“ジェオンの肩幅”“ちょうどいい当て馬”そして、意外だったのが最終回でジェオンが見せた“過ぎ去ろうとする彼女の手を振り向かずに掴む”くらいだ(この過ぎ去る彼女の手をパシっと掴んで引き止める、というシーンは韓国恋愛ドラマの結構古典で、「え、これは入れるんだ」とちょっと驚いた)。

 と、ないものだらけだった『わかっていても』だが、それでも主演の、二人のリアルな大学生というにはあまりに現実離れしたビジュアル、女の子同士のカップルの描き方など、これだけでも1時間以上×10話を十分魅せることができるんだ、と可能性を感じた作品でもあった。

 これは新しい恋愛ドラマなのだとわかっていても、やっぱりそれっぽさをどこかに探してしまうのだが、どんなキャラクターの(過去を持った)二人が出会い、何が起こって展開していくのかを感動しながら見届けるドラマではない。ただそこにいる二人に見惚れることに価値のあるドラマである。

 韓国の恋愛ドラマの本質がすでに新しく変わっていっているのかもしれない、と思わせてくれる。

■配信情報
『わかっていても』(全10話)
Netflixにて配信中
監督:キム・ガラム
出演:ハン・ソヒ、ソン・ガン
制作:ビヨンドジェイ、スタジオN、JTBCスタジオ
写真はJTBC公式サイトより

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