スタジオ買収劇にスカヨハ訴訟と激動のハリウッド キーワードは“コンテンツ・イズ・キング”

「コンテンツ・イズ・キング」のハリウッド

 日本でも人気の高いブティック・スタジオのA24やリース・ウィザースプーンの製作会社ハロー・サンシャインの買収話、アマゾンによるMGM買収などの大型吸収合併案件も、すべてコンテンツの囲い込みが生んだ現象だ。アマゾンがMGMを84億5000万ドル(約9300億円)で買収したのは、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021年)などの目先の話題作ではなく、MGM社が所有する膨大なIPを使い、リメイクやリブートでコンテンツを製作していくことが目的だと明言している。一方、A24やハロー・サンシャインは、コンテンツ製作の力量と経験値で時価総額を高騰させた例だ。ハロー・サンシャインは、ウィザースプーンが出演するApple TV+の『ザ・モーニングショー』やHBOの『ビッグ・リトル・ライズ』などを製作、買収先にはAppleの社名も出ていたが、元ディズニー幹部の投資会社による約9億ドル(約990億円)での買収が発表された。A24の買収先にはやはりAppleなどが挙がっていたが、インディーズ映画スタジオとして破格の25億ドル~30億ドル(約2750~3300億円)の希望価格に対し、未決のままだ。2社は、ストリーミングサービスやスタジオに囲われるのではなく、自社のコンテンツ製作力をより高めていくために新たなる資金提供元を探していたと見られている。

 現在のハリウッドで最もコンテンツに資金を注ぎ込んでいるNetflixのオリジナル作品比率は米国のサービスで4割と言われている(参考:https://collider.com/netflix-originals-40-percent-library-us/)。オリジナル作品(米国内で独占配信権を所有するものも含む)は2400本で、およそ5本のうち2本はオリジナルという計算だ。2013年に『ハウス・オブ・カード 野望の階段』と『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』でオリジナル作品製作に乗り出し、2020年2月時点でのオリジナル比率が25%だったのが、1年のうちに約2倍に上がっている。独占配信コンテンツを増やすことが、会員増と会員契約継続につながると、全世界に2億人以上の会員を持つNetflixのデータが示している。

 激動のハリウッドにおいて、ストリーミングサービスは「コンテンツ・イズ・キング」をキーワードに、今後もスタジオの大小問わず買収劇とコンテンツの囲い込みが激化していくだろう。



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