『おかえりモネ』亮が誰かを怖がらずに好きになれることを願って 百音の揺るがない“正しさ”
先に述べた菅波の時のやりとりが、ここで再び反芻する。感情的で冷静さを失った決断をしたから、誰かの未来を奪った菅波。涙してそのことを後悔する彼を目の当たりにした百音が、冷静な判断を下したことに意味を感じた。今回の百音と未知のやりとりを見て、主題歌「なないろ」の歌詞の一説が頭に浮かぶ。
ヤジロベエみたいな正しさだ 今この景色の全てが笑ってくれるわけじゃないけど
それに、「正しいけど冷たい」って百音が出会った頃の菅波に抱いていた印象と少し似ているなと思う。しかし、しばらく一緒の時間を過ごして時が経ち、百音は何度もそれが本当の優しさなんだと実感し、学んできた。前回からウェザーエキスパーツにお邪魔している菅波は、百音に連絡してあげなよ、と言われるも「本人にしかわからない痛みがある」と自分の介入を憚る。百音も同じで、本人(亮)にしかわからない痛みを他人が容易く介入してしまうことを避けようとしているようにも思えるのだ。2人の思考の重なりが見え隠れする。影響を受けているのかもしれない、そんな風に理性的で揺るがない正しさを持つ百音というヒロイン像に頼もしさを感じる第79話だった。
そして、どうかまた誰かを怖がらずに好きになれるよう、亮の心に平穏が訪れることを願ってしかたない。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK