『かぐや様』前作からの変化とは? 平野紫耀と橋本環奈が体現する“告白すること”の大切さ

 言い訳や、回りくどいヘリクツはどうでもいいから、端的に本心を明かしてほしいーーそんな思いばかりが募るいっぽうのこのご時世。装飾だらけの言葉よりも、私たちはストレートな言葉を、そしてその言葉の核にある本心を求めている。

 そんな私たちの気持ちと相反するように、どうにも本心をひた隠しにし、心のスレ違いを繰り広げる者たちの姿がある。そう、公開中の映画『かぐや様は告らせたい 〜天才たちの恋愛頭脳戦〜 ファイナル』の白銀御行(平野紫耀)と四宮かぐや(橋本環奈)である。前作から2年。彼らがスクリーンに帰ってきたのだ。またも「告白」をめぐって、新たな“バトル”を展開している。

 本作は、高すぎるプライドが邪魔をして想いを伝えられない者たちの“恋愛頭脳戦”が描かれているもの。“恋愛は戦ーー「告白した方が負け」なのである!”というのが、本作が掲げる物語の主軸となっている。舞台となるのは前作と同様、将来を嘱望されるエリートたちが通う私立秀知院学園。この学園の生徒会長である白銀御行と副会長の四宮かぐやは、互いに惹かれ合いながらも、見ていてついヤキモキしてしまう関係にある。彼らこそが、愉快で荒唐無稽な恋愛劇を展開するのだ。

 「神聖なる生徒会室で何やってんだ!」などとツッコミを彼らに入れるのは、ヤボでナンセンスというもの。恋は盲目。彼らは周囲や目の前にいる意中の相手以上に、自身の心ばかりに囚われ、翻弄されている。この学園の生徒たちがちょっと不憫ではあるものの、白銀御行と四宮かぐやが抱いているのは、あくまでもピュアなラブだ。要領を得ない迷言の数々で私たちを弄ぶ政治家たちと比べれば、圧倒的に可愛いものである。

 さて、本作は続編とあって、やはり前作からすると大きくパワーアップしている印象だ。前作公開時のレビューでも書いたのだが(参考:平野紫耀×橋本環奈の最強実写コンビだけじゃない! 『かぐや様は告らせたい』若手俳優が躍進)、この作品では俳優たちの言動が相互に作用し合うことで、あの「ピタゴラスイッチ」の装置のような機能を持ち、有機的なシーンを次から次へと生み出していく。一人ひとりのキャラクターの言動が、俳優たちの一挙手一投足が、有機的に関連し合い、『ファイナル』らしい“結末”ーーつまり恋愛バトルの“決着”へと結びついていくのだ。2年ものときが経てば、登場人物たちが成長せずとも、演じる俳優たちは成長する。作品の中心に立つ平野と橋本だけでなく、佐野勇斗、浅川梨奈、堀田真由ら続投組はもちろん個々にキャリアを重ねているし、本作が映画初出演となった日向坂46の影山優佳や、本作のアニメ版に声優として参加した福原遥の登場も大きい。彼らは彼らでサイドストーリーを展開し、それがまたメインストーリーに絡むことで、本作のテーマに深みを与えているように思う。ちなみに“パワーアップ”というのは、ナンセンスなネタの数々に関してもいえることである。かなりパワーアップしている(特に高嶋政宏の“狂演”ぶりは、昨夏公開の『ぐらんぶる』に続き、もはや心配になってくるレベルだ……)。

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