犬飼貴丈、『はたらく細胞BLACK』を観て考えた仕事と健康 「生活を改めるきっかけに」

生活習慣を改めるきっかけになった

――この作品を観て、生活習慣に影響はありましたか?

犬飼:そうですね。この作品を観て、自分の身体でも細胞たちが必死に働いている姿を想像するようになったせいか、睡眠をしっかり取ろうと思うようになりましたし、お酒を含めた暴飲暴食も控える意識が高くなりました。あと、仕事の前にエナジードリンクを飲むようにしていたんですが、第7話のエナジードリンクのエピソードを観てから若干控えるようになりました。この作品は、色々な点で生活習慣を改めるきっかけになっていると思います。第11話で描かれた痛風や、第10話で登場する『ピロリ菌』にもかかったことはないですが、この作品を観て気をつけようと思えたので、体験する前に観ることができて良かったです。

――お酒のエピソードが2話で登場します。アルコールを摂取して、歓楽街を模した肝臓で抜いてもらうという展開でした。

犬飼:そうでしたね。肝臓で働く肝細胞にも色々あってしんどいんだよという話でしたね。

――この作品は身体の中の話ですが、歓楽街があったり、先輩後輩の上下関係があったりと、社会の縮図のようでもありますね。

犬飼:『BLACK』はそういう面がより強く出ていると思います。そういう点では、身体の主の生活を想像しながら観るとより面白くなると思います。ストレスで煙草を10年ぶりくらいに吸ってしまって(1話)、さらにお酒を飲んで(2話)、性病にかかり(3・4話)、徹夜続きで働いて(8話)、最後は心筋梗塞になってしまう(12・13話)。一体、この人は社会の中でどんな生活しているんだろうと思います。

――おそらく、この身体の主も細胞たちに負けず劣らずの過重労働していますよね。

犬飼:そうですね。そこが実社会とリンクしているんだろうなと想像するとさらに面白く観られると思います。

――この作品は、身体の問題とともに「働くってなんだろう」と考えさせられます。5話でキラーT細胞が暴走して脱毛症になる話などが象徴的です。

犬飼:そうですね。5話の他、11話の痛風のエピソードもですが、細胞が働きすぎて身体に異常が発生してしまう話でした。働きすぎると良くないのは細胞も同じなんですよね。11話では、主人公が「お前はまだ働けるんだから、働け」と言われて打ちひしがれるシーンがありましたけど、あれもすごく現代社会を反映しているなと思いました。

――労働と健康という点では、昨年からのコロナ禍でリモートワークがすすんで運動不足になりがちな人も多いです。本作の8話にも2日間徹夜で同じ姿勢が続いたことで肺塞栓症(エコノミークラス症候群)になるエピソードがありましたが、僕の知人にもリモートワークでエコノミークラス症候群になった人がいます。犬飼さんはコロナ禍でどのように健康を保っていますか?

犬飼:最近は週に1、2回は走るようにしていますし、自宅で自重の筋トレをやっています。コロナ禍以前よりも運動しているかもしれないですね。実は数年前に体調を崩したことがあって、それ以来、健康は大事だなと思って、歩く時間を増やしたり筋トレするようにしていたんですけど、コロナが始まってからは、さらに走るようになりました。なるべく身体も心も若々しさを保っていたいというのもあって、それを続けられるように、自分の中でネジが緩んできたら、また『BLACK』を観て気を引き締めたいですね。

仕事は時には休むことも大切

――犬飼さんにとって、働くってなんでしょうか?

犬飼:自分のためでありつつ、周囲の人の期待を裏切れないという使命感の部分も大きいです。仮に、僕が全部投げ出してしまったら、今まで僕に何人の人がかかわってきたかを考えると、怖くなるので奮い立たせられると言いますか。

――主人公の赤血球(AA2153)と似ていますね。

犬飼:ちょっと似ている面があるかもしれません。9話で主人公に後輩ができて、後輩のミスも全部カバーして頑張りすぎてしまう時、「ああ、こういう時自分にもあったな」と思いました。

――すると、主人公のように手の抜き方が上手くない部分もありますか?

犬飼:はじめの頃は常にフルパワーで仕事していたんです。でも、それだと必ず後半まで持たないことに気が付いて、抜くべき時には抜くやり方を覚えました。

――お仕事つながりで近年の俳優としての出演作についてもお聞きします。『サレタガワのブルー』(MBS/TBS)と『青天を衝け』(NHK総合)、出演ドラマ2本が放送中です。

犬飼:『青天を衝け』の方は、主人公・栄一(吉沢亮)と絡む機会も増えてくるので、そろそろまた出番が増えてくると思います。

――主演の吉沢亮さんとは『なつぞら』で兄弟役を演じられましたが、今回はまた異なる関わり方での再共演となっています。

犬飼:一度共演させてもらっているので、リラックスしてやらせてもらっています。スタッフさんにも『なつぞら』経験者がいますし、『なつぞら』を撮っていた隣のスタジオで撮影しているのもあって、ホームでやれているという感覚があります。大河ドラマは大きな挑戦ですが、そのおかげで力まずにできていますね。

――『サレタガワのブルー』の方は、最近は映画『ぐらんぶる』など激しい役が多かったので、今回は優しさと怖さを持っている役どころは新鮮に感じます。

犬飼:ありがとうございます。男性から意見を頂けることがそんなに多くないのでうれしいです。既婚者の方々にはハラハラする物語だと思いますが、ご自身の結婚生活とは別の話として楽しんでいただければ幸いです。

■リリース情報
『はたらく細胞BLACK』(7巻)
Blu-ray&DVD発売中
Blu-ray:7,480円(税込) 
DVD:6,380円(税込)
特典【完全生産限定版特典】
・キャラクターデザイン:安彦英二描き下ろしデジジャケット
・キャストオーディオコメンタリー(12話)赤血球(AA2153):榎木淳弥×白血球(1196):日笠陽子×赤血球(NC8429)×八代拓
・スタッフオーディオコメンタリー(13話)原作:原田重光×原作漫画:初嘉屋一生
・オリジナルドラマCD「環境、改善、新生活」
・特製ブックレット
・PV・CM集

原作:原田重光・初嘉屋一生・清水茜(講談社『モーニング』所載)
監督:山本秀世
シリーズ構成・脚本:森ハヤシ
キャラクターデザイン:安彦英二
メカニックデザイン:氏家嘉宏
アクションエフェクト作画監督:神谷智大
美術監督:佐藤正浩、塚原千晶
美術監督補佐:大田麻友香
色彩設計:岡亮子
3DCGIディレクター:原一晃(旭プロダクション)
撮影監督:高津純平
撮影監督補佐:高村真実
編集:長谷川舞
音響監督:田中亮
音響効果:北方将実
音響制作:スタジオマウス
音楽:菅野祐悟
音楽制作:アニプレックス
アニメーション制作:ライデンフィルム
製作:アニプレックス・講談社・NetEase Games・TOKYO MX
声の出演:榎木淳弥、KENN、日笠陽子、Lynn、内山夕実、鳴海崇志、久保ユリカ、椎名へきる、ブリドカット セーラ 恵美、平川大輔ほか
ナレーション:津田健次郎
(c)原田重光・初嘉屋一生・清水茜/講談社・CODE BLACK PROJECT
公式サイト:saibou-black.com
公式Twitter:@cellsatworkbla1

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