『漂着者』ヘミングウェイは1400年前に婚約? 時空を超えて漂着した説浮上

 ヘミングウェイ(斎藤工)の前に現われた婚約者を名乗る古市琴音(シシド・カフカ)。その腕にはヘミングウェイと同じ翼を広げた紋様のタトゥーがあった。

 『漂着者』(テレビ朝日系)第4話。全裸で漂着した預言者と連続女児殺人事件、得体の知れないNPO法人に旧ソ連の情報機関。背後には人間の第6感を司る遺伝子があって、生き残った少数民族が今でもその遺伝子を保有している。情報量に圧倒され、翻弄されながらも「入り組んだ迷宮の中から真実を見つけ出すんだ」と語るキャップの橋(橋本じゅん)にならって、私たちも本作の謎と向き合うことにしよう。

 全ての鍵を握っているのはヘミングウェイだ。現時点で彼の出自は明かされていない。ヘミングウェイが何者であるかがわかってしまえば、本作の謎はあらかた解消するので、それだけ徹底して伏せられていると思われる。小出しにされた情報からは某国の工作員ではないこと、日本語を話し、お新香が好きということがわかっているが、逆に言えばその程度しかわかっていないと言える。

 そのヘミングウェイを唯一“知っている”人間が琴音である。なにせ婚約者なのだ。琴音はヘミングウェイと対面したことはなかったが、ヘミングウェイの漂着に関する重要な手がかりをつかんでいた。ヘミングウェイがどこからやってきたのかという疑問に、私たちはてっきり遠い場所から流れ着いたものと想像していた。漂着という言葉に含まれる離れたところから来るというニュアンスのためである。しかし、第4話ではヘミングウェイが長い時間を経て出現したことが示唆され、時空を超えて漂着した可能性が出てきた。

 根拠は琴音の発言だ。琴音がヘミングウェイと婚約したのは1400年前。琴音はローゼン岸本(野間口徹)に「まさかこのタイミングで現れるとは思っていなかった」と語る。琴音とローゼンが裏でつながっていたことに驚くが、ローゼンも第2話で「1400年以上お待ちしていた」と話していたので、2人ともヘミングウェイが出現することを知っていたことになる。ただそれが正確にいつ、どこで起きるかはわかっておらず、直接確認するためヘミングウェイの元に出向いた。結果的に、ヘミングウェイは、琴音が「あの男は本物ですよ」と保証する人物だった。ここで「本物」というのがヘミングウェイの能力か、それとも別の属性を指すかは定かではない。

 ただ、琴音とローゼンには複雑な事情もあるらしく、そのことはヘミングウェイの記憶が戻らないことを「まだしばらくはこのままでいてくれた方がいいわね」と言っていることからわかる。1400年前というと、日本では聖徳太子が没し、世界ではイスラム教が勃興、中国は唐の時代を迎えていた。三大宗教がそろい踏みし、文明の交流がさかんになった時代に出現が予告されていたヘミングウェイは、神話や伝承に登場するような特別な力を持つ存在として描かれていたのではないか。

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