『青天を衝け』吉沢亮×板垣李光人が結んだ特別な絆 栄一が踏み出した実業家としての一歩
大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合)が4週間ぶりに帰ってきた。再開となる第24回「パリの御一新」はパリ編のラスト。栄一(吉沢亮)や昭武(板垣李光人)らは、約1年半のパリ生活を終え、日本への帰国を決意する。
前回「政権を帝に返上する」と大政奉還を宣言した慶喜(草なぎ剛)。今回、その姿は回想のみに留まり、慶喜の現状は日本からパリに届く文にて知らされるという異例の演出の仕方となった。大政奉還に続くのは、慶喜率いる旧幕府軍と薩摩軍の戦闘が起こり、慶喜は朝敵と見なされているという衝撃的な内容の文。さらには慶喜の兄の水戸藩主・徳川慶篤(中島歩)の訃報も届き、日本の状況が把握できず、一行は混乱する。
中でも心中穏やかではないのは、慶喜の弟の昭武である。当初は、将軍となった慶喜の名代としてパリ万国博覧会へ出向き、欧州で知見を広め、そのまま次期将軍になる予定だった。だが、そのプランは大きく崩れ、もはや本来の目的すらも見失ってしまう状態。昭武の心は揺れていた。
そんな昭武のそばにいたのが栄一だ。第24回では度々、栄一に相談する昭武の姿が映し出される。「今、公儀が政を失ったとしたら、私はどうなる?」。答えに窮する栄一。だが、慶喜から届いた直書に対してどうすべきか思い悩む昭武に、栄一は文で慶喜に建白してはどうかと提案する。
政権を朝廷に返されたのなら、なぜ兵を動かしたのか。戦のご意志があって兵を動かしたのなら、なぜ最後まで戦われなかったのか。この先必ず、臆病、暗愚と罵られると分かりながら兵を置き去りにし、江戸へ戻られたのはなぜか。遠き日本にいる慶喜に問いたいことを列挙していくうちにその思いが溢れ、栄一は昭武の前で声を荒げる。だが、それは身なりは千代(橋本愛)の言う異人と同じあさましい姿になったとしても、日本の行く末を案じる熱き心、すなわち市郎右衛門(小林薫)の言う大和魂はなくしてはいないということ。昭武は栄一に「日本に戻っても私のそばにいてくれぬか」と告げ、慶喜とは似て非なる特別な絆を結ぶのだった。