『賢い医師生活』S2第1話を速報レビュー 20年来の親友による告白に対する賢明な返事

 『賢い医師生活』(Netflix)シーズン2が6月17日より配信開始になった。第1話は、2020年5月末に本国で放送されたシーズン1の第12話とシームレスにつながる内容で、シーズン2の第1話というよりも『賢い医師生活』の第13話だった。韓国での視聴率は全国平均10%で、tvNドラマの初回放送視聴率歴代1位を記録している。

 シーズン1のクライマックス、第12話で5人の医師たちはそれぞれの岐路に立っていた。病院のオーナー一族の末息子で小児外科医ジョンウォン(ユ・ヨンソク)は、牧師になる夢よりも、1人でも多くの子どもたちを救い、彼をひたむきに想う外科レジデントのギョウル(シン・ヒョンビン)のそばに居続けることを選んだ。親友の妹イクスン(クァク・ソニョン)と極秘で付き合い始めた胸部外科医ジュンワン(チョン・ギョンホ)は、彼女の夢である留学を応援し、遠距離恋愛を受け入れる。シーズン1で家族に散々振り回された産婦人科医ソッキョン(キム・デミョン)のもとに、彼を慕うレジデントのミナ(アン・ウンジン)と元妻のシネから相次いで連絡が入り、またしても深いため息をつく。そして、天才外科医のシングルファーザー、イクジュン(チョ・ジョンソク)が20年来の親友で、何事も完璧にこなす脳神経外科医ソンファ(チョン・ミド)との関係を前進させるために勇気を振り絞ったところで、視聴者は約1年間のおあずけをくらっていた。

 シーズン2のファーストシーンは、まさに第12話がドラムカウントとシンバルの音とともに幕を閉じた2019年12月25日から始まる。付き合い始めたばかりのギョウルを公私共に支えるジョンウォン。文明の機器に助けられ、ロンドンにいるイクスンとコミュニケーションをとるジュンワン。順調な2人とは逆に、3人の前途は複雑だ。ソッキョンは元妻シネの父親が緊急入院し、久々の再会を遂げる。雪の中でふたりが寄り添う姿を目撃してしまうミナ。そして、疲弊した心と体を休めるために分院に異動したソンファと、学会から戻ったイクジュンの間には微妙な気まずさが生じていた。「ずっと昔からの友達がいる。でも、好きになった。告白したら気まずくなりそうだし、だが今回も告白しないと、一生後悔しそうだ。どうすれば?」と、ソンファが得意とする悩み相談の体裁を借りて想いを伝えたイクジュンへの返答は、第1話のラストで告げられる。「告白しないほうがいい。今みたいに一番の親友としてこの先も過ごしたいと言われると思う。私があんたなら告白しない」という“アドバイス”は、とても賢明で慎重に練られたものだった。かつて彼女に愛を告白しようとした男性たちには言葉を遮るように切り返していたのに対し、ソンファが時間をかけて「最善を尽くし」懸命に言葉とタイミングを選び、20年来の美しい友情を守り古傷に触れないようにしていることがわかる。

 新章はまだ始まったばかり。演出や小道具の隅々にまで伏線を張り巡らせることで知られるシン・ウォンホの演出とイ・ウジョンの脚本は、第1話では主にイクジュンとソンファの関係変化を推測させる符号を残している。例を挙げると、出勤前の2人が遭遇するのは病院の緊急病棟前。シーズン1ではこの場所でジュンワンとイクソン、ジョンウォンとギョウルのカップルの関係変化が表現されていた。シーズン1のイクジュンとソンファが主に病院の地下駐車場で遭遇していたのに対し、地上での逢瀬に浮上している。そして、ソンファが運転する車の助手席にイクジュンが座り、3つの虹がかかるトンネルを通り過ぎていく。当初シーズン3まで計画されていたように、3はこのドラマにおける重要な数字。この他にもソンファが「私がそっちに行くわ」と3度言う、ジョンウォンが「俺だけ3回連続で中央座席に座ってる」と言うような符号とその推測は尽きない。これらの宝探しのような伏線は、バラエティ出身の監督・脚本家がいかに視聴者を楽しませるかを念頭に置いて作品作りをしているからだろう。

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