『きれいのくに』切なく響いた「青春の影」 最終回を前に高校生5人の関係性を振り返る

『きれいのくに』切なく響いた「青春の影」

 よるドラ『きれいのくに』(NHK総合)は、第7話で「高校生編」がクライマックスに突入。誠也(青木柚)、凜(見上愛)、れいら(岡本夏美)、貴志(山脇辰哉)、中山(秋元龍太朗)、5人それぞれの感情のダムが一気に溢れていく。本稿では最終回を迎える次週に向けて、5人の関係性や心情を改めて整理していきたい。

 まずは先週、大きな動きがあった凜から。非整形者「プレーン」が秘密裏に集まるクラブ「きれいのくに」に連れてこられた凜は、安藤(小野花梨)から「私は裏整形してるよ」と危険な言葉をかけられていた。容姿にコンプレックスのある凜は違法な美容手術を受けるかで揺れる。そんな折に出会うのが啓発映画に出演していたプレーンの女優・小野田(吉田羊)。「みんなの好きって別に私の好きじゃないじゃん。私は私みたいな誰かの好きでいいかなって思って。顔はこのままにしてる」「私は私のままが好きかもしれない」。トレンドに流されない、自分の考えを持つ小野田に凜の心は再び揺れる。しかし、小野田もまたプレーンとして肩身の狭い立場にいた。

 誠也は凜とれいらの2人と関係性がギクシャクし始めていた。れいらとは性行為が失敗に終わりそれからというもの有耶無耶な関係に。約束をドタキャンした凜には、れいらといるところを見られてしまっている。思春期真っ只中の誠也は、自分の気持ちも分からないまま、日々ただ悩むばかりであった。そんな誠也を突き動かすのは、凜がパパ活をしているという噂。貴志のデカすぎるカラオケの歌声に隠れるように、誠也は「パパやめてくんない?」「かなり仲良くなりたい。いや……もっと、かなり上の」と凜に告白をする。誠也は小学生の時に、凜の容姿をからかっていじめる男子にドッジボールで仕返しをしたことがある。誠也自身も気づいていない潜在的な気持ちは、凜の方に向いているのかもしれない。

 一方のれいらは、パパ活の客に襲われてからトレンド顔のトラウマから抜け出せずにいた。そのターゲットとなってしまったのが、両親の遺伝子操作によってトレンド顔で生まれてきた中山だ。れいらから避けられ続けてきた中山は意を決してその理由を問い詰める。奇しくもそこは、れいらが襲われたカラオケ店。過呼吸になるれいらの姿からはその精神的ショックの深さが垣間見える。やっと言い出せたその理由を聞き、中山は克服できるまで自分を無視することを提案。しかし、すでにその無視は以前から始まっており、れいらは「無意識にやってたのも同じか」と自分がしていた行為を省みるのだった。

 そんな、れいらに一途な思いを寄せるのが貴志。れいらが他校の彼氏と別れたことをきっかけの一つに、貴志は友達からそれ以上の関係性になろうと行動に移す。いつものように貴志はれいらの部屋に上がる。相談を聞くため何度も入ったことのあるれいらの部屋が、いつもと違って見えるーー貴志の顔からは「お調子者のムードメーカー」はすっかり消えていた。明らかに普段と違う態度のれいらがその理由を明かしてくれないこと、それらが焦りとなって「今度俺んちにも来てよ」という一言が口から漏れ出す。部屋に呼ばれてばかりの立場、越えられない一線。「俺が彼氏だったら言えるんじゃないの?」という本心に、れいらは貴志が開けたばかりのピアス穴を見て「耳から膿たれてるよ」と突き返す。残酷にもそれがれいらにとってのアンサーだった。貴志に至っては、感情のダムが決壊した結果とも言える。

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