『仮面ライダー』半世紀にわたるヒーローの足跡 “昭和ライダー”シリーズの歩みを振り返る

『仮面ライダー』半世紀の足跡を辿る

 漫画家・石ノ森章太郎が原作を担当し、東映が制作した特撮ヒーロー『仮面ライダー』(1971年)が、今年2021年に50周年を迎えた。

 東映チャンネルでは6月に、「仮面ライダー生誕50周年『昭和ライダー全員集合!』」と銘打って、各シリーズの第1話と最終話の一挙放送に加え、仮面ライダーZXが登場する『10号誕生!仮面ライダー全員集合!!』と、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭で特別上映された『仮面ライダー世界に駆ける』を放送する。この機会に昭和の仮面ライダーシリーズの歩みを振り返ってみよう。

 第1作『仮面ライダー』は怪奇アクションという謳い文句で始まり、怪人に襲われた一般人が溶かされる描写をはじめ、薄暗い照明を用いたダークな画面、ライダーに敗れた怪人も泡のように溶けて消えるなど、恐怖感を醸し出す演出が多用された。やがて仮面ライダー2号の登場に合わせ、主人公・一文字隼人のポジティブな性格を反映した明るい作風へ移り変わる。当時すでに、歌謡界でヒット曲を出していた歌手の山本リンダがレギュラーに加わったことで、世間での知名度もアップした。オートバイ転倒事故で長期休養していた藤岡弘、が番組に返り咲いたことにより、仮面ライダー1号と2号の揃い踏みといったイベント回も増え、人気はますます上昇。敵組織ショッカーの幹部の交代劇、番組オープニング、エンディングのマイナーチェンジを繰り返して視聴者の子どもたちを魅了しながら2年間の放送を全うした。

 仮面ライダー1号と2号によって改造手術を受けた青年・風見志郎が変身する『仮面ライダーV3』(1973年)は、機械と生物を合成したデストロン怪人の強さと、それを跳ね返してゆくV3の勇姿、そして4回も入れ替わる個性的な敵幹部のアイデアを惜しげもなく投入し、視聴者を飽きさせない工夫が凝らされた。中でもデストロンを脱走した青年科学者が変身するライダーマンは、番組終盤を大いに盛り上げた。

 海洋科学者だった父の想いを受けて、深海開発用改造人間として蘇った神敬介が、悪の組織GOD機関と戦う『仮面ライダーX』(1974年)は、前2作になかったライバルキャラクター、アポロガイストが登場する。話題作りのために、放送期間中に何度かの作劇の変遷があったが、最後は巨大幹部キングダークとの一騎打ちの中、亡き父と因縁のあった呪博士を倒して平和を守る。

 ジャングルからやってきた野生児が変身する『仮面ライダーアマゾン』(1974~1975年)は、昆虫をデザインモチーフとする歴代仮面ライダーの中で、爬虫類のマダラオオトカゲをモチーフにした異色のヒーロー。敵の怪人が組織を裏切って味方につき、そのままレギュラー化するというユニークな作品でもある。スタジオジブリ制作のアニメ映画『もののけ姫』(1997年)で、主人公アシタカの声を演じた俳優の松田洋治が、子役時代に出演していた特撮番組としても知られている。

 オートバイで各地をさすらいながら、悪の秘密結社ブラックサタンの先兵と戦う『仮面ライダーストロンガー』(1975年)は、番組後半で敵組織が入れ替わり、強敵デルザー軍団との戦いの中で歴代ライダー6人が次々と集結。最終話には変身前の素顔の俳優が勢揃いして華を添え、1971年から1975年まで5作品続いた『仮面ライダー』シリーズは、ひとまず幕を下ろすことになる。

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