『トロピカル~ジュ!プリキュア』に込められた“願い” “明るくたのしい”作風の所以を探る

 『プリキュア』シリーズの第18作目、『トロピカル~ジュ!プリキュア』(通称『トロプリ』)が、テレビ朝日系にて毎週日曜朝8時30分より放送中だ。

 毎年、新作のたびに新たな試みが話題を呼ぶ『プリキュア』シリーズ。それは今回の『トロプリ』も例外ではなく、主人公が変身するプリキュアが“ピンク”ではなく“虹色”モチーフであることや、変身アイテムがコスメとなっており、これを模した子どもの肌にも優しいコスメを実際に商品展開するなどが、過去作にはなかった特徴となっている。

 同時に本作は、とある過去の『プリキュア』シリーズ作品を彷彿とさせる作風にもなっている。そこには、『プリキュア』シリーズが長年にわたって支持され続ける理由のひとつと言える、制作陣の“子どもたちへの真摯な願い”が込められているように思うのだ。

 『トロプリ』は近年のシリーズ作品の中でも、極めて“明るくたのしい”作風だ。主人公のキュアサマー/夏海まなつは「いま一番大事なことをやる」という信念を持っていて、同じプリキュアでもあり、まなつと一緒に“トロピカる部”を設立した仲間たちは、そんなまなつを慕いつつも、いつも振り回されることになる。

「トロピカル~ジュ!プリキュア」キュアサマー へんしんシーン

 全員がまったく異なる個性を持っており、そこに自己中心的でわがままな人魚・ローラ(『人魚姫』などでイメージされるような一途で儚いイメージとは真逆だ)も加わることで、まなつたちの毎日には愉快なトラブルばかりが巻き起こる(ちなみにフォローを入れておくと、ローラのわがままさは「世間知らずゆえの可愛らしさ」といったバランスで描かれているので、彼女を不快に感じる視聴者はあまりいないだろう)。

 こうした日常が、思わず笑ってしまう、“ドタバタ劇”といって差し支えないコミカルさで描かれているのが、『トロプリ』の大きな魅力となっている。

 『トロプリ』のシリーズディレクター(ほかのアニメで言う監督と同様の役職)は土田豊。『映画 キラキラ☆プリキュアアラモード パリッと!想い出のミルフィーユ』をはじめ、過去作でも思わず笑ってしまうユニークな演出の数々を手掛けてきた演出家だ。

 シリーズ構成の横谷昌宏は『プリキュア』初参加ながら、『はたらく魔王さま!』や『下ネタという概念が存在しない退屈な世界』などのコメディ色の強いアニメの数々に携わり、これらを評価の高い作品へと導いた経験を持っている。こうしたメインスタッフの人選からも、本作がいかに“たのしさ”を追求して制作されているかがうかがえる。