『コントが始まる』は傑作の予感! 菅田将暉、有村架純ら豪華キャストのやり取りに注目
今年1月に公開された『花束みたいな恋をした』の菅田将暉と有村架純が再共演を果たし、私生活でも大親友という菅田と仲野太賀に、神木隆之介が加わったお笑いトリオが繰り広げるショートコントから幕を開け、それを“前フリ”とした物語が展開する。作品への取っ掛かりとなるトピックが充分すぎるほど並ぶ日本テレビ系列土曜ドラマ『コントが始まる』が4月17日からスタートする。一足先に第1話を拝見して思ったことを率直に言えば、「こういうドラマが観たかった」の一言に尽きる。
会社を辞め、生活費を稼ぐためにファミレスでアルバイトを始めた里穂子(有村架純)は、そこで深夜にネタ作りをする3人の若者たちに出会い興味を持ち始める。彼らが「マクベス」という名前で活動するお笑い芸人であり、隣のマンションで共同生活をしていることなどを知っていくうちに、いつしか彼らの存在を生き甲斐のように思うようになる里穂子。初めて彼らの単独ライブを観に行くのだが、マクベスはそこで解散を発表してしまう。呆然としていた里穂子は、その帰り道でマクベスのツッコミ担当である春斗(菅田将暉)に呼び止められるのである。
第1話の冒頭は、「水のトラブル」というコントから始まる。ある奇想天外な悩みを抱えたラーメン店の店主と従業員、そして依頼を受けて店を訪れた水道工事業者のやりとりが交わされながら、そのコント動画を見ている里穂子の物語へと繋がっていく。彼女がどのようにしてマクベスと出会い、単に“好きな芸人”ではない(妹から芸人と呼ばれることも抵抗するぐらい)思い入れを持つようになったのか。要するに、里穂子というヒロインの視点から見ればこのドラマは“推し”との歴史を辿る物語だと捉えることができよう。
その一方で、里穂子と春斗との出会いから切り替わる、マクベスの結成から現在に至るまでの10年間の紆余曲折の物語は、実にオーソドックスな“夢追い人”の年譜である。高校時代の恩師のちょっとした言葉に突き動かされ芸人という狭き門を志し、その先に待っている現実に何度もぶち当たっては挫折に挫折を重ね、その度に仲間たちと支え合う。そして苦悩の果てにひとつの決断へ行き着くこととなり、いくつもの迷いを経て導かれた道にもがく。そんな古典的な青春描写と、前述したような現代的な視点が重なることで、この物語に普遍性が与えられるというわけだ。