藤原季節主演映画『のさりの島』予告編公開 阪本順治、行定勲らの絶賛コメントも

 5月29日に公開される藤原季節主演映画『のさりの島』の予告編が公開された。

 本作は、2019年に公開された映画『嵐電』に続く北白川派の最新作。『おくりびと』の脚本を手がけた小山薫堂をプロデューサーに迎え、海外でも高い評価を得た『カミハテ商店』の山本起也が監督を務めた。

 “のさり”とは、いいこともそうでないことも、自分の今ある全ての境遇は、天からの授かりものとして否定せずに受け入れるという、熊本県・天草のことば。オレオレ詐欺の旅を続ける若い男がたどり着いた天草の地で、自分の人生を見つめ直していく。

 群れから離れるように放浪する主人公を『佐々木、イン、マイマイン』の藤原、オレオレ詐欺の男を孫として迎え、奇妙な同居生活を送るつかみどころのないお茶目な老女役を、本作が遺作となった原知佐子さんが演じた。

映画『のさりの島』予告編

 公開された予告編は、藤原演じるオレオレ詐欺を続ける若い男が、老女の艶子(原知佐子)に家に招き入れられるところから始まる。若い男はいつの間にか、“将太”として艶子と奇妙な共同生活を送るようになり、やさしい“嘘”の時間に居場所を見つけていく。

 また、本作をいち早く鑑賞した映画監督の行定勲や阪本順治らからコメントも到着した。

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コメント

高橋惠子(女優)

「もっと、もっとゆっくり歩いて!」『カミハテ商店』の現場での山本監督の声がよみがえる。
“のさりの島”を観て、これが山本さんの表現リズムなのだと改めて思う。
原知佐子さんの不思議な微笑みはそのリズムを確信的に体現していた。

高橋伴明(映画監督)

サスペンス要素を多分に孕む映画であるはずなのに、山本起也というフィルターを透ると、汀に淡々と寄せては返す波に自らの来し方の自問自答を促されるような催眠術に陥るのは何故だろう。1月19日、原知佐子さんの御命日に。

阪本順治(映画監督)

山本起也監督が、『ツヒノスミカ』を発表したのは2006年。ご自身の90歳の祖母を被写体としたドキュメンタリーだ。そのお祖母さまとこの作品のばあちゃんは重なってみえる。共通するのは、静かなたたずまいと迷いのない意志だ。
『のさりの島』を観始めてすぐ、ばあちゃんこと、原知佐子さんに心を持っていかれ、細やかなしぐさやことばの耳障り、それらすべてになにもかもを預けてみたい欲望にかられた。「のさり」の意味そのままに、こちらは身構えることもなく、受け入れてもらえるような安心感がそこはかとなく、まちがいなく。
以前の穏やかな日常をわすれてしまいそうないま、この『のさりの島』という土地をたずねれば、わたしたちのあしたに繋がる風景がきっとみつかるはず! 傑作!

中村高寛(映画監督)

オーソドックスな映画だ。登場する人物たち、町とその歴史、それぞれの記憶と感情が丁寧に紡がれていく。
決して何かを声高に訴えることもなく、派手さも奇をてらうこともない。地方都市「天草」を舞台としながらも、いまの「日本」の姿を見つめようとしている。そしてその眼差しは限りなく優しい。

行定勲(映画監督)

天草の海はいつも懐かしく、風は固くなった心を溶かしてくれる。
錆れゆく町に立ち止まって、ゆっくり人生を考えて、
もう一度、ちゃんと生きてみようと小さな希望を感じさせてくれる映画でした。

■公開情報
『のさりの島』
5月29日(土)より、ユーロスペースほか全国順次公開
出演:藤原季節、原知佐子、杉原亜実、中田茉奈実、宮本伊織、西野光、小倉綾乃、水上竜士、野呂圭介、外波山文明、吉澤健、柄本明
プロデューサー:小山薫堂
監督・脚本:山本起也
撮影:鈴木一博
音楽:谷川賢作、小倉綾乃、藤本一馬
配給:北白川派
2020年/DCP/5.1ch/129分/ビスタサイズ/日本
(c)北白川派
公式サイト:https://www.nosarinoshima.com

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