『Dr.STONE』を成功に導いた声優陣の熱演 小林裕介、河西健吾らがカリスマ性を放つ

 文明が滅んだ原始の世界を制するのは、自然が人間に与えた“純粋な力”か、人類自身が積み重ねた“科学”か。そんな問いを投げかける『Dr.STONE』のTVアニメ第2期が佳境を迎えている。

 原作は『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載されている原作・稲垣理一郎、作画・Boichiによる漫画『Dr.STONE』。謎の現象により全人類が石化し、文明が滅びた石の世界=ストーンワールドを舞台に、およそ3700年ぶりに石化から復活した主人公・石神千空が科学の力を駆使し、元の世界を取り戻すために奔走する姿を描いたクラフト・アドベンチャーだ。

 これまでアニメ第1期・第2期では一貫して、千空と元の世界で「霊長類最強の高校生」と詠われていた格闘家・獅子王司の“科学VS武力”という対立構造が描かれてきた。

 司は“復活液”で純粋な若者だけを生き返らせ、権力や金に支配された大人たちのいない原始的な生活を営む理想郷を作り上げようと画策している男。そのため、彼と真っ向から対立する千空は死を偽装し、石化を逃れた父・百夜を始祖とする石神村の住民を味方につけ、司に対抗するための“科学王国”を建設する。一方、司は司で自身の帝国を築いており、3月11日に放送された第9話ではついに科学王国と司帝国による最終決戦の火蓋が切られた。

 病気を治すための薬、照明を点けたり、冷蔵庫で食材を冷やしたりするのに欠かせない電気、遠く離れた家族や友人と連絡を取るのに必要なスマホ……私たちが普段当たり前のように享受しているものが全て失われたストーンワールド。そんな場所で科学の知識だけを頼りに0から1を生み出していくというストーリーの斬新さも魅力的ではあるが、本作には高校生にして天才的な頭脳を持つ千空や、ライオンをも素手で撃退してしまう強さを誇る司をはじめ、一度見たら忘れられない個性にあふれたキャラクターが次々と登場する。しかし、何より設定に頼らない豪華声優陣の熱演ぶりも本作の見どころだ。

 まずは、千空の声を担当する声優・小林裕介。『暁のヨナ』のスウォン役や『炎炎ノ消防隊』のアーサー・ボイル役など、これまでも数々のアニメ作品で人気キャラクターを演じてきた小林は今期、本作と『Re:ゼロから始める異世界生活』(以下、リゼロ)第2期の2作で主人公役を務めている。

 ストーンワールドで科学の力を使って人類を救おうとする千空と、異世界で手に入れた“死に戻り”の力で周囲の人々を守るリゼロの主人公・スバル。世界観や設定は大きく異なるが、どちらも世界の命運を握るヒーローであることには違いない。だが、小林が演じるのは実は打たれ弱かったり、誰よりも計算高かったりと、決してありきたりではないヒーローだ。スバルは精神的に追い詰められると、どんな励ましも届かないほど自暴自棄に陥るし、千空は目的のためならば他人を騙すことも厭わないところがあり、稀に主人公とは思えない悪人面を見せることも。それでも根っこには熱い信念と仲間への思いやりがあり、「この人についていきたい!」と思わせるカリスマ性を発揮する。

 小林はその演技力でシリアスとコミカルなシーンを使い分け、かっこいいけど人間味のあるヒーローを体現している。彼の力強い声は、どんなピンチも乗り越えてくれるだろうという安心感を与えてくれるのだ。

 また、『Dr.STONE』の物語の中で心強いのがマジシャンであり、心理学にも精通するメンタリスト・浅霧幻の存在だ。幻は司帝国の人間だったが、命を救われたことで千空側に寝返って以降はうまく周りを取り込む科学王国の“交渉人”として活躍する。そんな幻を演じるのは、『3月のライオン』の主人公・桐山零や、『鬼滅の刃』に登場する鬼殺隊の柱の一人である時透無一郎、キャラクターラッププロジェクト『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』のオオサカ・ディビジョン、躑躅森盧笙の声を担当する河西健吾だ。

 彼の声について『三月のヒロイン』の原作者・羽海野チカは「輝く闇のような声」と評していたが、まさにその通りで、言葉以上に河西の声はキャラクターの内面世界を映し出す。幻も一見軽薄で胡散臭さ満載だが、千空の突発的な行動に対して冷静にツッコミをいれたり、その中に隠された意図を理解したりと、実は誰よりも頭の回転が早くバランスの良い人間なのだ。河西は幻のペラッペラな言葉の中にもしっかりと意味を持たせ、彼を千空の強力なバディとして印象づけた。