『おちょやん』トータス松本再登場のインパクト 千代とテルヲが本心に触れ合う日はくる?

 「子どもに捨てられた親が、こんなに寂しいもんやとは」――公演中に千之助(星田英利)が言ったこの台詞は、かつて兄弟劇を共に演っていた須賀廼家万太郎(板尾創路)に向けての想いに聞こえたが、なんと『おちょやん』(NHK総合)第15週「うちは幸せになんで」の予告に再登場した“例の人”への前振りでもあったのか。

 主人公の竹井千代(杉咲花)の父親・テルヲ(トータス松本)が、またしても千代の前に現れるようだ。ただし、これまで散々千代を振り回し引っ掻き回してきた“朝ドラ史上最低の父親”とも言われるテルヲもとうとう今回が最後の登場になりそうだ。

 予告では「幸せにしたってくれ」と神妙な面持ちで話すテルヲの様子が描かれており、“どの口が……”という気持ちを禁じを得ない視聴者が大多数だろう。だが、これまでの流れを振り返っても明らかな通り、決してこの親子関係を陳腐な美談にだけは終わらせられない、そんなチープな展開では今まで見守ってくれた視聴者が納得しないだろうことは承知の上での制作サイドの並々ならぬ意気込み、覚悟がどう帰結するのかも見ものである。

 ただ、千代からしてもテルヲのせいで散々傷つけられたとはいえ、満たされた幸せな家庭環境で育っていれば芝居に出会うこともなく、同じく親子関係に孤独を抱えていた一平(成田凌)とも惹かれ合わなかったかもしれない。千代の“喜劇魂”を育んだ一端を担っているのは、大好きな母親が残したビー玉と「明日はきっとえぇ1日になる」という言葉、それからどうしようもないけれど調子だけは良いテルヲと弟のヨシヲと過ごしたあの“何も持ってはいなかった”その日暮らしの幼き日々であることは間違いない。

 そして、テルヲ側からしても、千代本人はもちろん、千代の周囲にもどれだけ拒絶されているかはさすがに自明の中、また自分が姿を現せればどうなるのか、どんなに性懲りもないテルヲにだってわかっているはずだ。それでもやっぱり老いぼれてなお、最後に見たいと思うのは娘の顔だったということなのだろうか。これまでは必ず何らかの魂胆があって千代の前に登場してきたテルヲの“最後の目的”とは何なのか。泥臭いながらも最後にはポップに仕上げてくれるトータス松本が、“朝ドラ史上最低の父親”の幕引きをどう見せてくれるのか。テルヲが本当に“血も涙もない鬼のような人間”だとは考え難く、ただただ短絡的にその時の楽しさや快楽を追い求めた結果、今に繋がっている“ろくでなし”であることはおよそ間違いないだろう。そのテルヲが「最後」を意識した時に、どんな振る舞いに出るのか。