『CUBE』なぜいま菅田将暉主演でリメイク? 成功の鍵はデスゲームジャンルへの“本気度”

『CUBE』なぜいまリメイク?

デスゲームジャンルやホラーの人気が再沸騰?

 さて、先述したなぜ『CUBE』リメイクがいまされるのか、その二つ目の理由に戻りたい。本作はミステリースリラーでもありながら、同時にゴア描写も激しいグロホラーという顔を持ち合わせている。そして本作を配給する松竹が、実は近年ホラーに力を入れているのだ。過去5年で見ると、2016年には配給29作品の中に『残穢【ざんえ】—住んではいけない部屋—』、『クリーピー 偽りの隣人』があり、2017年は31作品中、『こどもつかい』の1作と、ヒット作を出しつつもそれ以降2019年までホラーは一切配給されていなかった。ところが2020年には16作品と例年に比べて配給作品が少ない中で2作品『シライサン』と『事故物件 恐い間取り』が公開され、特に『事故物件』が想像以上の大ヒットを記録した。興行収入で言うと、なんと2000年代で日本で最もヒットした『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』の22億2000万を超えたのだ。この結果に手応えを感じたはずなのである。

Netflixオリジナルシリーズ『今際の国のアリス』Netflixにて、シーズン1全世界同時配信中

 そして時を同じくしてNetflixでは『今際の国のアリス』が大ヒット。以前こちらの記事で書いたが(参照:『今際の国のアリス』国内外でヒットの理由 『バトル・ロワイアル』から続くジャンル人気から探る)、いまやこのジャンルの作品はこれまでのマイナー路線とは違い、再びヒットが約束されたメインストリームに上がってきている。しかし、どれだけヒットしそうだとはいえ、問題になってくるのが年齢制限の壁だ。どんなジャンルの作品でも、やはりRがはいってしまうだけで興行収入に大きく影響する。ところが先ほど紹介した過去数年の松竹のヒット作はなんとR-12の『シライサン』以外すべてG(全年齢対象)なのだ。これも一つ、『事故物件』があそこまでの記録を出した背景となっているだろう。

 では、『CUBE』もGで作られるのか。レイティングは未だ公表されていないが、全年齢対象にすることで、もちろん血を含めたグロ描写が制限される。『CUBE』最大の見どころとも言えるその点を、どのようにバランスを保って描くのか、それとも思い切ってR指定作品として制作するのか。どちらにしても、期待したいところだ。

■アナイス(ANAIS)
映画ライター。幼少期はQueenを聞きながら化石掘りをして過ごした、恐竜とポップカルチャーをこよなく愛するナードなミックス。レビューやコラム、インタビュー記事を執筆する。InstagramTwitter

■公開情報
『CUBE』
10月22日(金)公開
原作:ヴィンチェンゾ・ナタリ『CUBE』
出演:菅田将暉、杏、岡田将生、田代輝、斎藤工、吉田鋼太郎
監督:清水康彦
配給:松竹株式会社
製作:「CUBE」製作委員会
(c)2021「CUBE」製作委員会
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/cube/
公式Twitter:@cube_m0vie

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