こんな新婚生活は逃げ出す!? 河北麻友子が語る、悲鳴を上げながらハマった『THE GREAT』

召使いとエカチェリーナのシスターフッドにも共感

 地獄のような新婚生活に参ってしまうエカチェリーナは、何度も故郷のドイツに帰りたいと呟くようになり、日々ホームシックになりながら家族に手紙を送る。一度は脱走して国に戻ろうと試みるが、彼女の計画を見抜いたピョートルに殺されかけてしまう。彼女の故郷を想う気持ちに、アメリカでの生活が長い河北が共感するのは自然なことだった。

「やっぱりホームシックにはなりますね。今の時代はLINEやテレビ電話ができるけど、彼女は本当にたった一人で戦っているので、私だったら心が折れちゃうなと思いました。いつか手紙でさえも中身を見られたり、届かなくなったりするのでは、という恐怖もある。一概に安心しきれないし、絶対ということがない状況なので、先が見えないことは私だったら頑張れないから、彼女は凄いと思います」

 しかし、エカチェリーナは独りではない。彼女の召使いを務めるマリアル(フィービー・フォックス)は、元貴族だったのにピョートルの意向で召使いに格下げさせられたという背景を持つキャラクターだ。毒舌で、宮廷の色に染まらないエカチェリーナを応援する存在となる。そんな二人の姉妹のように女同士で支え合う関係性も、本作の見どころだ。

「私もお姉ちゃんがいるので、彼女にしか言えないことがよくあって。姉妹や女性同士だからこそ分かり合える部分があることに共感できました。一人だけでもマリアルのような存在が近くにいれば、ピョートルのようなひどい夫でも頑張れるかもしれない……? いや、絶対無理ですね(笑)。でも唯一、救われる瞬間になるのは確かだと思います。旦那の周りの宮廷の人々も皆、おかしなところがあるから、だんだんエカチェリーナが『私がおかしいのかな』って自信を失ってしまうかもしれない。そんなときに、マリアルが、エカチェリーナが彼女らしくいられるように側にいて、一緒に時間を過ごしてあげるのがいいなと思いました」

女性の社会進出を目標に突き進む主人公の強さ

 本作では、男尊女卑の世界で女性への教育を求めてエカチェリーナが奮い立つ。女性の社会進出を目指して突き進む女性が主人公という物語ということで、主演を務めたエル・ファニングがまさに適役だったと、河北は語る。

「エル・ファニングはもうプリンセスにしか見えませんでした。本当に綺麗で、その真の強さや、言葉一つ一つに重みがあって。あの役のままにしか見えないぐらい、まさに適役だと思いました。女性進出を描いたドラマとしては、今まであってもおかしくないのになかったタイプだと思います。女性だからこそ、物事の解決方法が男性の考えと変わってくると思うし、そこがとても楽しみです。例えばピョートルに、彼のアイデアだと思わせて『こうしたらいいんじゃないの?』とアドバイスするシーンも面白くて、殺すという選択肢以外に同じゴールを目指せるなら利用した方がいいかも、と考えられるのが女性らしいなと。

 エカチェリーナの『自分が信じたものは絶対』という考え方は、私も一緒だなと思いました。お仕事していく中でいろんな人と出会うけど、私は家族が一番で、彼らと過ごす時間で自分を取り戻しています。このドラマではエカチェリーナがマリアルと過ごす時間で自分を取り戻し、パワーアップする。そこは重なる部分だなと共感しました。とはいえ、あそこまで我慢はできないです。意志の強さに憧れるし、彼女のようになりたいなと思いました」

関連記事