『パラサイト 半地下の家族』はいまこそリアル? 地上波初放送前にチェックしたい5つのポイント

『パラサイト 半地下の家族』はいまこそリアル? 地上波初放送前にチェックしたい5つのポイント

 『パラサイト 半地下の家族』は、この1年間で“伝説”になったといえる韓国映画だ。カンヌ国際映画祭で韓国初の最高賞を獲得し、アカデミー賞作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の主要4部門を受賞、世界中で大ヒットを記録した、もはや韓国だけではなく、アジア映画初の偉業を成し遂げたモンスター級の作品である。そのフィーバーぶりは凄まじく、本作のモノクロバージョンが製作される事態となったほか、監督のポン・ジュノはアメリカのトークショーや雑誌の表紙を飾るなどメディアに引っ張りだこに。そして、本編にちらっと映っていたポテトチップスが売れまくり、スペインの小さな工場の生産が追いつかなくなるという珍事まで起こった。

 そんな『パラサイト 半地下の家族』が、日本テレビ系「金曜ロードSHOW!」35周年記念作品として、1月8日に地上波初放送される。ここでは、2020年に大きな話題となった本作の魅力をふたたび振り返り、見どころや作品の背景を振り返っていきたい。

ポン・ジュノ監督がすごい

 韓国国立映画アカデミー出身のポン・ジュノは、とにかく才能に溢れた映画監督だ。劇場デビュー作『ほえる犬は噛まない』(2000年)をはじめとして、『殺人の追憶』(2003年)、『グエムル-漢江の怪物-』(2006年)、『母なる証明』(2009年)などなど、手がけた作品のほとんどが傑作に仕上がり、早くから世界で様々な賞を受賞している。だがそれでも、その作品群の内容の素晴らしさからすると過少評価ではないかと思えてくる。本作『パラサイト 半地下の家族』は、その意味において、カンヌ最高賞やアカデミー作品賞を獲得したことによって、やっとポン・ジュノ作品の価値が正当に評価された一作なのだ。

 しかし、なぜいままで本作のような成功を成し遂げられなかったのか。その原因はおそらく、作品の内容が“面白過ぎた”からではないだろうか。ポン・ジュノ監督作品は、芸術性と娯楽性、どちらもが圧倒的に優れているのが特徴だ。そのために作品がエンターテインメントとして受け取られ、芸術作品としての評価が遅れるることになったのかもしれない。そんな両極の魅力を放つ映画作家は、世界的にも稀有である。その才能は、黒澤明監督やスティーヴン・スピルバーグ監督などに例えられることもある。いまや、彼らと同じく誰もが認める世界的巨匠である。

 日本の漫画やアニメーション作品が大好きだという監督は、自分でも漫画を描いていた経歴がある。その技術は絵コンテにも発揮され、見事な構図を生み出し、そのユーモアが観客を楽しませる。本作でも炸裂している、ポン・ジュノの“漫画的感性”に注目してほしい。

予測不能の物語

 面白さの大きな要因になっているのが、監督の創造性やユーモアが発揮された脚本である。本作の主人公となるのは、ソウルの低所得者が住んでいることが多いという半地下部屋で生活を営んでいる、父と母、息子と娘4人の貧困家族だ。一家は、全員職にあぶれ、進学にも失敗し、ピザ屋の箱を作るという内職をするなど、極貧生活を送っていた。だが息子ギウ(チェ・ウシク)が身分を偽り、ある裕福な家庭・パク家の娘の家庭教師になったことから事態は変化し始める。

 ギウの手引きによって、娘のギジョン(パク・ソダム)が美術教師として同様に屋敷に出入りするようになると、一家はさらに策を弄してパク家の使用人たちを追い出し、父ギテク(ソン・ガンホ)が運転手に、母チュンスク(チャン・ヘジン)が家政婦になり、一家全員が身分を隠したまま同じ家から給金を受け取るという、異様な状況が完成する。まさに一家の“パラサイト(寄生虫)”生活が始まったのだ。

 これだけでも奇想天外な物語といえるが、本作はこの後、さらにすごいことが起きる。パク一家が旅行に行っている最中、「この家の人間は本当に騙しやすい」と大笑いしながら4人が豪邸でハメを外していると、夜中にもかかわらず何者かがインターホンを押す音が聞こえてくる。そこから、本作は誰にも予想できないような意外な展開に突入していくことになる。何が起こるのかは、ここでは言及しないが、そんな予測不能な物語もまた、ポン・ジュノ作品の特徴であるといえよう。

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