『かぐや様は告らせたい』は平野紫耀×橋本環奈の持ち味全開! 少年漫画原作ならではのユニークさ

 映画『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』が、1月5日20時57分よりTBS系にて放送される。学園を舞台にした恋愛コメディという点を一括りにして考えてみれば、この『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』もまた、2010年代の日本映画を象徴する“キラキラ映画”の系譜に含まれるように思えるのだが、原作コミックの掲載誌が少年誌『週刊ヤングジャンプ』であるという一点によって、大多数が「少女漫画」を原作としたものである“キラキラ映画”とは一線を画す作品といえよう。それでもKing & Princeの平野紫耀が主人公を演じ、ヒロインには橋本環奈というキャスティングの華々しさは、他の“純正”なキラキラ映画よりも格段にキラキラしていると言っても過言ではないだろう。

 物語の舞台はエリートばかりが集う私立秀知院学園。頭脳明晰な生徒会長の白銀御行と、文武両道で大財閥の令嬢である副会長の四宮かぐやは、互いを意識し合う関係にあったが持ち前のプライドの高さが邪魔して、いつのまにか「先に告白した方が負け」という呪縛に囚われてしまう。そして「いかにして相手に告白させるか」のみを追求した頭脳戦を繰り広げていくというわけだが、まあ身もふたもない言い方をしてしまえば学校や周囲の人々を巻き込んだ大掛かりな“意地の張り合い”が展開するという物語である。そのポップさは、いかにも少年漫画らしい。

 そもそも少女漫画を原作とした“キラキラ映画”と、本作のように学園恋愛ストーリーが展開する少年漫画を原作とした作品とを切り分けるものは何か。そのひとつとして挙げられるのは、「超エリートばかりが集う学園」や「大財閥の令嬢」のような、良い意味で“現実性の薄い”設定である。たしかに『花より男子』や『未成年だけどコドモじゃない』もこのような設定を持つわけだが、往々にしてどこにでもいる普通の学生が、進路や家庭環境のような現実的な悩みに直面しながら、恋愛という現実の非現実な部分を追求する庶民性によって共感を生みだすことが“キラキラ映画”の暗黙のルールと言える。

 こうしたキャラクターの内面に介在する性格/性質とは異なる外的要素の設定というのは、少女漫画においては場合によってノイズになり得る危険性があるのだが、現実離れしたエンターテインメント性を追求しがちな少年漫画では決して悪目立ちすることはない。むしろその設定を活かして物語に恋愛要素を生むという異質さが(必然的にエンターテインメント性はコメディ要素に帰結しやすくなるのだが)絶妙なバランスを生むこととなり、この『かぐや様〜』や、本作でメガホンを取った河合勇人監督が以前に実写映画化した『ニセコイ』のような人気作が生まれるわけだ。

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