2020年の年間ベスト企画

年末企画:麦倉正樹の「2020年 年間ベストドラマTOP10」 「戦国時代」は何度観ても面白い

 単発ドラマでは、原子爆弾の開発に携わっていた科学者の苦悩と青春を描いた『太陽の子』が印象に残っている。とにかく、柳楽優弥、有村架純、三浦春馬の3人のたたずまいが素晴らしかった。それだけに、秋クールの『お金の切れ目が恋のはじまり』には、かなり期待していたのだが……恐らく、大きな変更点があったのだろう。その「不在」を浮き彫りにする最終回第4話の内容は、現実と虚構がリンクする、とても不思議な体験をさせてもらった。

 そして、今年のベストテンを選ぶのであれば、やはり『半沢直樹』を外すわけにはいかないだろう。もはや内容はうろおぼえだが、「三密」が声高に叫ばれる昨今の世の中にあって、至近距離で怒声を浴びせ合うこのドラマならではの「ケレン味」は、何だかんだ言ってかなり痛快だったし、まったくもって溜飲の下がる思いがした。

 そして、コメディドラマに関しては、意外と言っては何だけれど、結局最後まで楽しく観てしまった『女子高生の無駄づかい』、『浦安鉄筋家族』などが面白かった。いずれも、現在注目の小劇団の面々が脚本に参加していることは、きっとその面白さと無関係ではなかったのだろう。ちなみに、前者の演出を担当した山本大輔は、その後『妖怪シェアハウス』(テレビ朝日系)に参加、後者の演出を担当した瑠東東一郎は、その後『極主夫道』(読売テレビ・日本テレビ系)に参加している。あと、何かと毀誉褒貶の激しい福田雄一だが、いわゆる『今日から俺は!!』的な「バラエティ・ドラマ」というスタイルは、ひとつ確立しているような気がしていて……その意味で、『親バカ青春白書』は、永野芽郁の愛らしさもあって、最後まで結構楽しく観ることができた。

TOP10で取り上げた作品のレビュー/コラム/インタビュー

大根仁監督が明かす、ドラマ『共演NG』の制作背景 “抜けの良さ”が生まれた新たな仕事に
本郷奏多、向井理、滝藤賢一 『麒麟がくる』戦国の“異端児”を演じる3名の役柄を解説
吉田鋼太郎の松永久秀は従来のイメージを覆すリアリストに 『麒麟がくる』総集編で注目
本木雅弘、“愛嬌を持った悪役”として放つ新たな輝き 『麒麟がくる』道三として物語を動かす役割に

■麦倉正樹
ライター/インタビュアー/編集者。「リアルサウンド」「smart」「サイゾー」「AERA」「CINRA.NET」ほかで、映画、音楽、その他に関するインタビュー/コラム/対談記事を執筆。Twtter

■放送情報
大河ドラマ『麒麟がくる』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアムにて、毎週日曜18:00~放送
BS4Kにて、毎週日曜9:00~放送
主演:長谷川博己
作:池端俊策
語り:市川海老蔵
音楽:ジョン・グラム
制作統括:落合将、藤並英樹
プロデューサー:中野亮平
演出:大原拓、一色隆司、佐々木善春、深川貴志
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/kirin/
公式Twitter:@nhk_kirin

関連記事