『僕のヒーローアカデミア』劇場版が高評価な理由 第3作はどんな作品に?

『ヒロアカ』劇場版が高評価な理由

 ここまでざっくりと劇場版作品2作について振り返ったが、この2作とも堀越耕平監修もさることながら、長崎健司監督と脚本家の黒田洋介の手腕によるものも大きい。このコンビは『ガンダムビルドファイターズ』でも少年向けの熱血アニメを作り上げているほか、黒田洋介は『スクライド』などの男と男の真っ向勝負を描いてきた脚本家だ。その熱量が見事に作品に載った結果だろう。

 制作スタジオのボンズも、派手なアクション描写で知られているが、今作では最も重要なバトルの説得力を与える作画を披露している。少し穿った見方をすれば『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE 〜2人の英雄〜』にて、敵キャラがボンズの代表作の1つである『鋼の錬金術師』を思わせる攻撃をしてくるなど、知っていればニヤリとできる要素も入れていたのが印象的だった。もちろん、それが作品世界を壊すことなく、しっかりとマッチしていたとも付け加えておきたい。

 さて、では3作目はどのような作品になるのだろうか。現在公開されているキービジュアルでは、IIIという数字と緑谷出久、爆豪勝己、轟焦凍の3人が映っており、作中屈指の人気をほこる彼らが中心となることは間違いないだろう。過去2作を見ると、原作では描かれづらい人々などをピックアップし、1エピソードとして魅力あるものを公開してきている。そうなると、プロヒーローや1年B組の面々など、魅力的で掘り下げがいのあるキャラクターの登場や、オールスタームービーもありうるかもしれない。想像は膨らむ一方だ。

 原作では過酷な状況が続いているが、それを吹き飛ばすような熱いバトルと爽快感のある物語を、『劇場版ヒロアカ』は約束してくれるだろう。観客の想像を超えた「プルスウルトラ」な作品を大いに期待したい。

■井中カエル
ブロガー・ライター。映画・アニメを中心に論じるブログ「物語る亀」を運営中。平成アニメの歴史を扱った書籍『現実で勇者になれないぼくらは異世界の夢を見る』(KADOKAWA刊)が発売中。@monogatarukame

■公開情報
『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE3(仮題)』
2021年夏、全国東宝系にてロードショー
原作・総監修・キャラクター原案:堀越耕平(集英社『週刊少年ジャンプ』連載)
監督:長崎健司
脚本:黒田洋介
キャラクターデザイン:馬越嘉彦
音楽:林ゆうき
アニメーション制作/ボンズ
(c)2021「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会 (c)堀越耕平/集英社

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