下ネタ満載のコメディからファミリー映画まで 俳優ウィル・フェレルの多才な魅力

 12月1日からNetflixドキュメンタリーシリーズ『僕らを作ったクリスマス映画たち』の配信が開始された。制作陣へのインタビューと撮影の舞台裏映像を交えながら、今や名作として知られるようになったクリスマス映画製作の苦労を知ることができるのは、とても興味深い。同シリーズでは『エルフ サンタの国からやってきた』と『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の2作品が取り上げられている。

 後者は日本でも説明不要の大人気作品だが、『エルフ』はあまり知られていないかもしれない。2003年に製作された本作は、日本では劇場公開されず、DVDリリースされた。しかし本国アメリカでは大ヒットし、ファミリーで楽しめるクリスマス映画の定番となっている。本作の監督は、当時は主に俳優として活動したジョン・ファヴロー。彼はこの作品で監督としての手腕を認められ、のちにマーベル・シネマティック・ユニバースの『アイアンマン』などを手掛けることになる。またヒロインのジョヴィーを演じたズーイー・デシャネルなど、本作のヒットで人気を獲得したキャストも多い。

 『エルフ』の主人公は、人間でありながら北極の妖精エルフに育てられたバディ。サンタクロースの工房で働いていた彼は、あるとき自分がエルフでないと知り、本当の父親を探してニューヨークに行くことになる。そこで大騒動を巻き起こすわけだが、純粋無垢なバディに感化され、周囲の人々が変わっていく心温まる作品だ。未見の人はぜひ観てみてほしい。 

 この名作で主人公バディを演じ大人気となったウィル・フェレルも、日本ではあまり知られていないのではないだろうか。彼はアメリカでは知らない人はいない有名コメディアンだが、それだけではない多才な人物だ。2020年6月26日には彼を主演に迎えたNetflixにてオリジナル映画『ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜』も配信され、今ますます注目すべき俳優である。

Netflixオリジナル映画『ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜』Netflixにて独占配信中

 ウィル・フェレルは、ビル・マーレイやエディ・マーフィを輩出した長寿コメディ番組『サタデー・ナイト・ライブ』に1995年から2002年までレギュラー出演し、ジョージ・W・ブッシュなどのモノマネで人気を博した。日本でもヒットした『オースティン・パワーズ』や『ズーランダー』シリーズにも出演している。これらの作品名を挙げるとだいたい想像がつくかもしれないが、彼の出演作の多くは下ネタ満載のコメディ映画だ。主演映画も多いが、そのほとんどが日本では劇場公開されていない。

 ウィル・フェレルの主演作として日本で最も有名なのは、おそらく『俺たちフィギュアスケーター』だろう。同作はフィギュアスケート“男子ペア”を描く、やはり下ネタ満載でハイテンションなスポ根コメディで、現役・引退済み問わず多くの有名フィギュアスケーターがカメオ出演したことでも話題となった作品だ。全米初登場1位を獲得した同作は興行収入も1億ドルを超え、その評判を聞きつけたGAGAが日本公開にこぎつけた。そして1日の総動員観客数新記録を樹立するほど好評を博し、日本でのフェレルの知名度を一気に上げたのだ。

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