松岡禎丞、下野紘、早見沙織ら“鬼滅声優”が集結! 『魔王城でおやすみ』が誘う独特の癒やし

 10月16日に全国403の映画館で公開され、初日に興行収入10億円を突破した『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』。TOHOシネマズ 新宿では公開初日に計42回、翌土曜日も計41回の上映スケジュールが組まれたにもかかわらず、連日観客が押し寄せ満員の文字が並んだ。

 一大旋風を巻き起こしている『鬼滅の刃』には、豪華な声優陣が勢ぞろいしている。鬼滅ブームの発端はTVアニメだといわれているが、物語の面白さや劇場版さながらの映像美はもちろんのこと、声優に命を吹き込まれたそれぞれのキャラクターが魅力を増したからではないだろうか。物語のメインキャラクターは主人公・竈門炭治郎、その妹・禰豆子や、炭治郎と同期の剣士である我妻善逸と嘴平伊之助。彼ら以外にも鬼殺隊には個性豊かな剣士が数多く存在し、必ず自分の“推し”が見つかる楽しさがある。

 そんな実力のある“鬼滅声優”が集結するアニメが10月5日にスタートした。毎週月曜深夜26時からテレビ東京ほかで放送されている『魔王城でおやすみ』だ。本作は『月刊少女野崎くん』『干物妹!うまるちゃん』『ダンベル何キロ持てる?』など、かわいいキャラクターと面白さが融合する作品を世に贈り出してきたアニメ制作会社「動画工房」が手がける“睡眠ファンタジーコメディ”。原作となっている熊之股鍵次の同名漫画は、2016年から現在まで『週刊少年サンデー』(小学館)にて連載されている。

 RPGのようなファンタジー世界を舞台とした物語は、『鬼滅の刃』で鬼殺隊の蟲柱・胡蝶しのぶを演じた早見沙織による癒やしのナレーションで幕をあける。人と魔が共存する時代、虹が架かる青空の下で人類を統制する国家カイミーン国の民は平和に暮らしていた。しかし、ある日世界を支配すべく魔王タソガレが人間界に降り立ち、カイミーン国の姫をさらっていく。姫の名はオーロラ・栖夜・リース・カイミーン、通称スヤリス姫(声:水瀬いのり)。誰もが嘆き悲しむ中、たったひとり勇者アカツキが婚約者であるスヤリス姫を奪還するために立ち上がる――。

 平和を脅かす敵に対して果敢に立ち向かう勇者が、めでたしめでたし……そうなれば王道のファンタジーだったはず。しかし、そんな設定をことごとく覆すのが、主人公のスヤリス姫だ。誰もが人間界から連れ去られ、雷が鳴り止まないおどろおどろしい暗闇に佇む魔王城に囚われた姫と聞けば、涙に暗れる少女の姿を想像する。なのに、スヤリス姫の第一声は「寝る以外、することがない」。魔族に危害を加えられることもなければ、公務もなく“わりと美味”な食事も三食与えられる。思わず羨ましくなってしまうスヤリス姫の毎日だが、ひとつだけ問題があった。それが寝る以外にすることがないのに、安眠できないということ。魔族はいびきがうるさく、寝具は粗末なものばかり。本作はクエスト風に安眠の材料を集めるスヤリス姫と、彼女に振り回される魔族のドタバタを1話完結で描いている。

 中でも一番スヤリス姫に悩まされているのが、彼女をさらった魔王タソガレ自身。姫がテディベアのような可愛い悪魔を手懐けて鍵を手に入れ、城を好き勝手探索するものだからタソガレは怒りを募らせる。だが、このタソガレもどこかズレたキャラクターで姫にはまず話を聞こうとする紳士ぶり。それでもなお姫はいつも安らかな顔でぐっすり眠っているから、話を聞くことすらも叶わない。

 そんな史上最も心優しい魔王を演じるのが、鬼滅で伊之助の声を担当している松岡禎丞だ。彼を一躍有名にしたのが、『ソードアート・オンライン』シリーズ。松岡が声を吹き込む主人公・キリトは圧倒的な強さを誇り、特に女性視聴者からの人気が熱い。一方『Re:ゼロから始める異世界生活』で演じたペテルギウス・ロマネコンティは、骸骨のような見た目で感情が高ぶると自らの指を噛み切る狂人。松岡の怪演ぶりに驚愕した人も多いはずだ。普段は勇敢なのに一度負けるとガクンと落ち込み人の優しさに弱い伊之助もそうだが、松岡はキャラクターにギャップをもたせるのが上手い。本作でも誰もが恐れる凶悪な魔王でありながら、自分がさらった姫に気遣いアカツキが挫折しない程度に振る舞うタソガレを愛嬌たっぷりに演じている。

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