劇場版『鬼滅の刃』公開前の総復習チャンス! 最重要な導入部、冨岡義勇の名台詞を堪能せよ

 10月2日に最新刊22巻が発売され、シリーズ累計発行部数1億部を達成した吾峠呼世晴による漫画『鬼滅の刃』のTVアニメが、「土曜プレミアム」(フジテレビ系)にて10月10日と17日に2週連続で放送される。2020年5月に『週刊少年ジャンプ』(集英社)での連載が完結してもなお、人気が衰えることのない本作。今回初めて地上波全国ネットのゴールデンプライム帯で放送されることから、SNSを中心に盛り上がりを見せている。

 漫画も凄まじく売れているが、鬼滅の一大ムーブメントを巻き起こしたのは2019年4月から9月にかけて放送されたTVアニメがきっかけだ。主人公・竈門炭治郎の声を担当した花江夏樹をはじめとする人気声優陣が命を吹き込んだキャラクターたちが生き生きと動き、鬼との激しい戦いを繰り広げる。

冨岡義勇「生殺与奪の権を他人に握らせるな!!」

 まず、第1夜となる10月10日の放送では、『鬼滅の刃』「竈門炭治郎 立志編」の第1話から第5話で構成された<兄弟の絆>を放送。こちらはTVアニメの放送に先がけて、期間限定で劇場公開されていたもの。炭治郎が家族を鬼に皆殺しにされ、唯一生き残ったが鬼に変異してしまった妹・禰豆子を人間に戻すために鬼を退治する剣士“鬼殺隊”に入隊するまでを描いている。父亡き後、炭治郎は母と下5人の兄弟と支え合いながら暮らしていた。しかし、炭を売るために家を空けて戻ってくると、すでに家族は鬼に惨殺された後。改めて絶望的な状況だが、強い心を持つ炭治郎は“禰豆子”という希望を手繰り寄せて現実に立ち向かっていく。

 <兄弟の絆>を語る上で欠かせないのが、そんな炭治郎を鼓舞する鬼殺隊柱の1人、冨岡義勇だ。冨岡が登場するのは、自我を失った禰豆子が炭治郎に襲いかかる雪山のシーン。花江はアフレコの際、劇場版さながらに気合の入った映像に驚いたという。花江は「鬼滅ラジオ」第1回の放送で、参考資料を撮るために雪山へ赴いたロケハン隊が遭難しかけた裏話を明かしていた。特に該当シーンを制作するにあたり、こだわっているのが木の枝にかかる雪。細部まで表現されたこの雪山で、冨岡は炭治郎を鼓舞するために敢えて厳しい言葉を投げかける。

 冨岡の声優を務める櫻井孝宏のどこか落ち着く、それでいて力強い声から生まれる台詞は印象的だ。中でも、禰豆子の命を奪わないでくれと土下座する炭治郎に言い放った「生殺与奪の権を他人に握らせるな!!」という名台詞はこれから炭治郎が向き合わなければならない厳しい現実を物語っている。冨岡と出会わなければ、炭治郎は鬼殺隊を目指すこともなかっただろう。その点で本作の最も重要な導入場面といえる。

鬼を一方的な悪者扱いにしない

 また、10月9日放送の『めざましテレビ』(フジテレビ系)に出演した花江は「炭治郎が頑張っている姿を見て、禰豆子も人間だった頃の自分を思い出したのか。積み重ねてきた2人の関係が見えてきて『こういう兄妹っていいな』って思いますね」と見所を語った。飢餓状態にもかかわらず、「禰豆子は人を喰ったりしない」と信じる炭治郎を冨岡から守る禰豆子。絆を深めた2人のやりとり、特に人を食べないために竹を咥えている禰豆子と御構いなしに妹を可愛がる炭治郎の若干噛み合っていない会話が微笑ましい。

 その後、冨岡から紹介された鱗滝左近次(声:大塚芳忠)に鍛えられた炭治郎は鬼殺隊に入隊するための最終戦別に参加する。本作の魅力の一つとして挙げられるのが、鬼を一方的な悪者扱いせず、隠された鬼の過去を丁寧に描く場面。人一倍鬼に情けをかける炭治郎の優しさが滲み出ているのが、最終戦別の地・藤襲山で鱗滝の弟子を次々と殺した手鬼との攻防戦だ。戦い終わった後、炭治郎が鬼に対して取る行動に注目してほしい。

 そして、最終戦別で炭治郎は個性豊かな同期と出会う。挑発的で鋭い目つきが特徴的な不死川玄弥(声:岡本信彦)、唯一女性の同期・栗花落カナヲ(声:上田麗奈)、そして気が弱くて女好きだが、憎めない愛されキャラの我妻善一。人気声優の下野紘がハイテンションで声を吹き込んだ善一は、炭治郎と共に鬼退治に臨んでいく。

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