堀未央奈と桜田ひよりにとって『ホットギミック』はどんな作品に? 公開から1年を経て明かす思い

桜田「山戸監督と話すたびに毎回泣いていた気がする」

ーーこの取材の前にちょうどビジュアルコメンタリーの収録を行っていたそうですが、久しぶりに作品を観ていかがでしたか?

堀:懐かしい感じもありましたが、観返すとやっぱり当時のことを思い出しますね。私自身もこの1年間でいろいろ心境の変化や環境の変化もあったので、ちょっと客観的に観れるところもあって、すごく新鮮でした。

桜田:映画を撮っていたときもそうですが、最初に試写で観たときとは時間も経っているので、当時とはまた違う角度で観ることができて、すごく新鮮ないい時間でした。

ーー今回改めて作品を観返して、感じたことや印象に残ったことはありますか?

堀:撮影では、毎シーン毎シーン、セリフが変わっていたんです。そのたびにセリフを受け止めて、自分の中で理解して、言葉にしたいなという思いだったんですけど、私自身100%理解できない言葉もあったりして。そんなときに、山戸(結希)監督がなんとなくその状況を汲み取ってくださって、私の近くに来て話してくださることがよくありました。運動場で梓(板垣瑞生)が本音で話してくれるシーンのときに、監督がずっと話をしてくださったことがあって。そこで、いままで誰かに言われたことがなかった部分を突かれて、自分を含め、女の子のことをめちゃくちゃ分かっている方だなと思ってビックリしました。

ーーそれはどういうことを言われたんですか?

堀:えっと……それは秘密です!(笑)

ーー(笑)。ぐさっと刺さることを話されたわけですね。

堀:そうですね。ひよりちゃんもそういうことあったって言ってたよね?

桜田:ありましたね。私の場合は、初と茜のお部屋のシーンでした。ちっちゃいモニターと一緒に、監督が体育座りをしてクローゼットの中に入っていたんですけど、監督に「来てください」と言われて、扉を閉めて真っ暗の中2人で話し合ったことがありました。そこで監督が「ここはこうだと思う」と言っていたのがすごく印象に残っていて。やっぱり他の誰でもない山戸監督にしか届けることのできない言葉だったり、自分にしか理解できない言葉も汲み取って言ってくださるので、私は山戸監督と話すたびに毎回泣いていた気がします。

ーーもちろん原作にあるものもありますが、山戸監督の作品は本当に“言葉の力”がすごいですよね。

堀:最後のほうで、髪を切った初が「似合ってる?」って亮輝くん(清水尋也)に聞くと、「宇宙人みたい」って言われるシーンがあるんです。それも当日ギリギリにいただいたセリフだったんですけど、それまで亮輝くんには「宇宙を感じる」というような言葉を言われてきた中で、最後の最後に、ちょっとディスりっぽいけど初にだけは届く言葉を選ばれていて。ちょっと愉快さもありながらめちゃくちゃ核心を突いている言葉で、そのセンスにビックリしました。普通はあまり書かないセリフじゃないですか。

ーーたしかにそうですよね。

堀:そこだけ見たらディスりになってしまうので、最後の最後に、女の子に向かって「宇宙人みたいだな」って普通は言わないと思うんです。でも、私も演じていて全く嫌じゃなかった。2人の関係性にも合っているし、褒め言葉のように感じたので、本当にすごいと思いました。

桜田:私も印象的だったセリフがあって。最後のシーンで、茜ちゃんがすばるくん(上村海成)にレインボーベーグルを半分にして手渡して、「頑張ってみてもいい?」と言うシーン。茜ちゃんって、それまでは自分から話して「こうだよね」という肯定を求めるような言葉だったり、断言するような言葉が多くて、相手に何かを尋ねることがなかなかなくて。茜ちゃん自身もきっと自分の中ですごく頑張ってる部分があるんだけど、それも届かないから、そういう言葉が出たと思うんです。その茜ちゃんの幼いながらの必死さが、私はすごく好きでした。

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