『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は何がすごいのか? 映画の醍醐味がここにある

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』解説

 ちなみに「勝負」の結果は、もちろん『デス・ロード』の完全勝利である。今現在、世界中で『デス・ロード』を彷彿とさせるアクション映画が後を絶たない。『デス・ロード』は永遠の金字塔『マッドマックス2』を乗り越え、新たな金字塔となった。これから先、『デス・ロード』は各方面で引用される……もっとぶっちゃけた表現を使うなら、パクられまくるだろう。その中から、また傑作が生まれるかもしれない。まさに約40年前、日本で『北斗の拳』が生まれたように。

 さて、ここまで勢いで個人的な『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の魅力と、どこがすごいのかを語ってみたが、まだ本作の魅力の100分の1も伝えきれていないと思う。私が感じた「潔さ」なんて、数多くある『デス・ロード』の魅力の1つに過ぎないからだ。そもそも『デス・ロード』には切り口が無数にある。俳優たちの熱演、ジョージ・ミラー監督の手腕、銃、面白改造車、謎の怪人たち、風刺などなど、要素がたくさん詰まっていて、その密度は尋常ではない。コラムが何本も書けるような高密度に濃縮された2時間の映像体験、まさに映画の醍醐味がここにある。いやぁ、映画って本当にいいもんですね……と、ここまで散々煽ってきたが、もちろん、実際に観てみたら全然面白くないと思う人もいるだろう。当たり前だが、それはそれでいいのである。本作は2010年代を代表する1本であることは間違いなく、そんな映画が劇場や配信コンテンツよりもずっと敷居が低い「テレビの地上波放送」で流れるのだ。何はともあれ、それを目撃してほしい。いち映画ライターとして言えることは、それだけである。

■加藤よしき
昼間は会社員、夜は映画ライター。「リアルサウンド」「映画秘宝」本誌やムックに寄稿しています。最近、会社に居場所がありません。Twitter

■放送情報
映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
フジテレビ系にて、9月12日(土)21:00~23:10放送
監督・脚本・製作 :ジョージ・ミラー
脚本 :ブレンダン・マッカーシー、ニコ・ラソウリス
<出演>
マックス:トム・ハーディー(AKIRA)
フュリオサ:シャーリーズ・セロン(本田貴子)
ニュークス:ニコラス・ホルト(中村悠一)
イモータン・ジョー:ヒュー・キース=バーン(竹内 力)
スプレンディド:ロージー・ハンティントン=ホワイトリー(たかはし智秋)
ケイパブル:ライリー・キーオ(植竹香菜)
ザ・ダグ:アビー・リー(大津愛理)
フラジール:コートニー・イートン(潘めぐみ)
リクタス・エレクタス:ネイサン・ジョーンズ(真壁刀義)
トースト:ゾーイ・クラビッツ(田村睦心)
(c)Warner Bros. Feature Productions Pty Limited, Village Roadshow Films North America Inc., and Ratpac-Dune Entertainment LLC

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