「週末映画館でこれ観よう!」

山崎賢人、松岡茉優らの“今”が全世界に配信 下北沢が舞台の『劇場』は青春を思い出す一作に

 
 自粛期間に吉沢亮、横浜流星ら数々の俳優たちが蓄えたひげショットが話題になったが、本作で人生初のひげを生やした山崎の長髪&ひげ姿に、これまでの彼のイメージとは違う雰囲気を感じた。少女漫画主人公のキラキラ感もなく、天下の大将軍を目指すギラギラとした野性味でもなく、山崎は気怠さを放出して登場する。そして、ひとりで不安を感じ、「いつまでもつのだろうか」と心の内を吐露するのだ。

 沙希を少しからかうように笑い、幸せそうな表情もたくさん見せる。だが一方で、負の感情の制御がうまくできずに、機嫌が悪そうな態度を表に出してしまったり、意地の悪い行動をとる。山崎の声のトーンや表情の動かし方、ちょっとした素ぶりで、永田の繊細な人間性がはっきりと伝わってきた。だからこそ、沙希との関係において、ダメな部分ばかりが目立つ永田だけを責めるようなことはできなかった。

 新型コロナウイルスの影響で、公開延期後に公開館数縮小という形で封切られた本作。生まれたばかりの熱を持った作品、そして山崎賢人や松岡茉優、寛一郎、伊藤沙莉、浅香航大ら日本の映画界でいま一番エネルギッシュな年代の俳優たちの現在の姿を、時差がない配信という形で世界中に観てもらえる機会は貴重だと思う。原作者の又吉は「『劇場』も『部屋』も自分にとって、あらゆるものが剥きだしになる特別な場所」と語っている。映画館でも自宅でも、ぜひゆっくりと自分だけの空間で贅沢に楽しんでほしい。

※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記

■公開・配信情報
『劇場』
ユーロスペースほかにて公開中、Amazon Prime Videoにて配信中
出演:山崎賢人、松岡茉優、寛一郎、伊藤沙莉、上川周作、大友律、井口理(King Gnu)、三浦誠己、浅香航大
原作:『劇場』又吉直樹(新潮社刊)
監督:行定勲
脚本:蓬莱⻯太
音楽:曽我部恵⼀
配給:吉本興業
(c)2020「劇場」製作委員会
公式サイト:https://gekijyo-movie.com
公式Twitter:https://twitter.com/gekijyo_movie0417

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