『MIU404』綾野剛×星野源のバディ感 “同じ側に見える2人”のキャスティングの狙いとは?

『MIU404』綾野剛×星野源のバディ感 “同じ側に見える2人”のキャスティングの狙いとは?

 4月期~7月期ドラマで乱立している「バディドラマ」。そんな中、現時点でバディとしての描き方において頭一つ抜けた印象があるのが、綾野剛×星野源のW主演作『MIU404』(TBS系)だ。

 2人は、24時間というタイムリミットの中で犯人逮捕にすべてをかける警視庁刑事部第4機動捜査隊隊員の「相棒」同士。綾野が演じるのは、公式サイトの表現を借りると「機動力と運動神経はピカイチの野生のバカ」伊吹藍で、星野源が演じるのは、「自分も他人も信用しない」「観察眼と社交力に長けた」志摩一未。

 放送開始前には、バディものの定番である「猪突猛進型の熱血派」と「クールで理性的な頭脳派」の対比をイメージした人も少なからずいたのではないだろうか。それにしては、この2人の印象はどちらも「和風塩顔」で低体温っぽさもあって、凸凹というよりも凹と凹、同じ側同士に見える。もちろんTBSの人気ドラマ『コウノドリ』の2人という安心感はある。また、『空飛ぶ広報室』(TBS系)の綾野剛と、『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)の星野源という「野木亜紀子作品」のタッグでもある。

 とはいえ、わかりやすいバディ感はない。しかし、それこそが実は狙いなのだろうということが、放送が開始されると見えてきた。

 第1話では、志摩が、自分の相棒候補に挙げられた伊吹の正体を探る中、唯一の取り柄として「足が速い」ことが出た以外、「僕の口からは……」「二度とツラ見せんなって言っとけ!」などとネガティブ要素ばかりが積み上げられる。それに対しておろおろする様子も意外で、相棒として動き始めた伊吹が野性の勘で突っ走ることに対し、突発的にぶち切れる。

「奥多摩の交番から来た素人が、野性の勘だけでしゃしゃってんじゃねえよ! ……俺までマウントとっちゃったじゃないか!(照)」

 あれ? 全然クールじゃないどころか、熱くて短気だし、すぐ凹むし、なんだかエモいキャラだぞ? と不意打ちされた視聴者も多いだろう。さらに、これに対する伊吹の反応が意表をついてくる。

「!!! なんだかテンション上がってきた~~!(嬉)」

 このセリフは実は台本になく、綾野剛のアドリブだそうだが、うっかり感情的な言葉を引き出されたうえに、喜ばれてはたまったもんじゃない。伊吹はなかなか食えない男だ。

 また、伊吹が暴走し、志摩が「規則」などを理由にストッパーとなるが、それが後半、見事にひっくり返される。ストッパーだった志摩が、犯人の逃走車に掟破りの無茶な運転で体当たりし、止める場面が描かれるのだ。本能的でまっすぐで常におバカ風味のある伊吹よりも、一度スイッチが入ると振り切れて突き抜けたおバカになってしまうのが志摩だ。つまり、「正反対のバディ」に見せて、二人の根っこの部分はおそらく似ていて、局面でシンクロするのだ。

 第2話では、殺人事件の容疑者の「やっていない」という言葉を信じる伊吹と、「誰も信じない」と語っていた志摩が、意見を対立させる。そこで志摩が語ったのは「人は信じたいものを信じるんだよ」というセリフ。これは、殺人を犯した本人もまた、やってしまったことが現実だと信じたくないために発せられた「やっていない」という言葉だったという悲しい結末に結び付く。

 さらに、容疑者の言葉を信じたかった伊吹と、脅されつつも、自身の息子と重ね合わせて匿ってあげる夫婦の過去がリンクする。夫婦が語ったのは、「お金がなくなった原因として疑われ、息子が自殺した。だから今回は信じてあげたかった」こと。一方、伊吹は同じ経験をしながらも「たった1人信じてくれた人がいた」ことで救われたと言う。そこで、伊吹が軽い感じで志摩にかける言葉「志摩ちゃんも、俺を信じてくれていいんだぜ」がやけに意味深に響く。

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