森七菜、『エール』でさらなるブレイク? 吉岡里帆、松本穂香の「朝ドラ」丸メガネ枠を継ぐ

「朝ドラ」丸メガネ枠を継ぐ森七菜

 松本穂香出演の『ひよっこ』は、2017年上半期に放送された第96作。有村架純演じる茨城県の米農家出身のヒロイン・谷田部みね子が、消息不明となった父(沢村一樹)を探して、集団就職で上京し、さまざまな試練を乗り越え成長していく姿を描いて、人気を博し、全4話のスペシャルドラマ『ひよっこ2』も放送された。松本は、みね子が就職した東京の向島電機の女子寮「乙女寮」で同室となる、同期の“すみちゃん”こと青天目澄子を好演。おかっぱ頭に丸メガネ、食いしん坊でマイペースな、ちょっと不思議ちゃんの入った愛されキャラを生み出した。

 1997年生まれ、大阪出身の松本の連続ドラマ初出演は、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系)。ここでも有村と共演していた。『ひよっこ』で注目を浴びて以降は、ドラマ『この世界の片隅に』(TBS系)で主人公のすず役を勝ち取ったことが大きな話題に。劇場用アニメ版のファンも多い作品だが、実写版としてのすずを見事に演じきった。昨年から『おいしい家族』『わたしは光をにぎっている』『酔うと化け物になる父がつらい』と主演映画が続き、今後も主演2作『君が世界のはじまり』『みをつくし料理帖』が控えている。まだ20代前半(23)と若いが、どこか他にないノスタルジックな空気をまとった女優であり、今後も期待される。

 吉岡、松本と活躍中のふたりが飛躍するきっかけとなった、朝ドラの丸メガネっ娘キャラ。第102作となる今期『エール』にも、丸メガネっ娘キャラが登場した。作曲家・古関裕而と、歌手としても活躍した妻・金子をモデルに、主人公・古山裕一を窪田正孝、ヒロイン・音を二階堂ふみが演じる本作での音の妹、関内梅だ。子供のころから文学が大好きで、小説家になることを夢見ている梅を、森七菜が演じている。

 2001年生まれ、大分県出身の森は、今年の8月に19歳になるところ。2016年に芸能活動を開始し、翌年には園子温監督によるドラマ『東京ヴァンパイアホテル』(Amazonプライム・ビデオ)、映画『心が叫びたかがってるんだ。』、ドラマ『先に生まれただけの僕』(日本テレビ系)と、立て続けにオーディションを勝ち抜き出演を決めていった。昨年公開の新海誠によるアニメーション映画『天気の子』のヒロイン役、今年公開の岩井俊二監督作『ラストレター』出演もオーディションで掴んだ。『ラストレター』では主題歌も担当し、歌手としてもメジャーデビューを飾っている。また現在、10代らしいまっすぐでさわやかな顔を見せている「オロナミンC」のCMも好評だ。

 NHK作品としては『やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる』『少年寅次郎』に出演。『エール』が3作目となった。末っ子ながら、次女の音や長女・吟(松井玲奈)と比べ、きっちりしっかりしている梅は、吉岡や松本が演じた丸メガネっ娘よりは、強い個性を出しづらい役柄かもしれないが、真面目ゆえの面白みもある。久々の登場となった、第57回「父、帰る 後編」では、父・安隆(光石研)があの世から1泊2日で帰ってくるファンタジーなストーリーが展開。驚かせようとした父に、「お父さんでしょ。幽霊なんて文学じゃあふれとるよ」と冷静に受け入れた。そして父に現在の悩みを吐露し、弾ける笑顔を見せた。

 今後は、映画『青くて痛くて脆い』『461個のおべんとう』、主演映画『ライアー×ライアー』(松村北斗とのダブル主演)と3本の待機作があり、『エール』からさらに加速していくに違いない。「今度は朝ドラヒロインを演じる七菜ちゃんが見たい」といった声も出ている森。まだまだ原石といった印象が強いものの、端々に見せる煌めきが、大輪の花を咲かせる可能性を感じさせる。またしても丸メガネっ娘から飛躍する女優が出そうだ。

■望月ふみ
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。

■放送情報
連続テレビ小説『エール』
2020年3月30日(月)〜9月26日(土)
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:唐沢寿明、菊池桃子、石田星空、込江大牙、菅原大吉、清水伸、田中偉登、風間杜夫ほか
制作統括:土屋勝裕
プロデューサー:小西千栄子、小林泰子、土居美希
演出:吉田照幸、松園武大ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/

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