『探偵・由利麟太郎』吉川晃司の渋味を堪能 今後は秘められた過去も明らかに?
ひたすらに吉川晃司が格好良く尊いのも本作の何よりの見どころだが、京都の夜道を薔薇の花束を携えながら歩く姿が美しく、その画力の破壊力たるや。届け先にいる骨董品店の店主の波田聡美(どんぐり)とのギャップもまた面白い。
波田が作るオムライスを紙ナプキンをつけて食べる、その完全なるキャラクターの作り込みも素晴らしい。紙ナプキン姿までフォーマルで紳士に映えるのは吉川晃司くらいではないだろうか。
また、ありがたいことに吉川晃司の渋味を堪能できる時間が毎話用意されているのだが、第1話ではおもむろに懐中時計(時間が止まっていたように見える)をポケットから取り出し眺めては、物思いにふけっていた。第2話では、レコードでオペラを聴きながらリズムをとり女性の写真を眺めて、また何かを回想しているようだった。
そして第1話から印象的だった窓際に置かれている椅子を指して俊助に質問されると、「思い出が座っている」と意味深な発言。「追憶の椅子。彼女はそう呼んでいた」。この「彼女」とは、写真にも写っている彼女なのか?
本作で由利が俊助に諭すように言った「“若い”と“愚か”は同義語」。店のママの梶原絹江(山口香緒里)が五月に言った「チャンスを奪うのは愛じゃない」。この辺りの言葉が、由利の言う「彼女」との思い出にも関連しているのだろうか。次回はもう後半戦突入だ。由利の秘められた過去を紐解くヒントがもう少し得られそうだ。
■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter
■放送情報
『探偵・由利麟太郎』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜21:00~21:54放送
原作:横溝正史『由利麟太郎シリーズ』(角川文庫刊、柏書房刊)
出演:吉川晃司、志尊淳、木本武宏、どんぐり、田辺誠一
<第2話>「憑かれた女」:水上京香、赤楚衛二ほか
<第3話>「殺しのピンヒール」:村川絵梨、浅利陽介ほか
<第4話・第5話>「マーダー・バタフライ前編・後編」:高岡早紀、大鶴義丹、鈴木一真、吉谷彩子、佐野岳、板尾創路、水沢林太郎ほか
脚本:小林弘利
演出・プロデュース:木村弥寿彦(カンテレ)
プロデューサー:萩原崇(カンテレ)、森井敦(東映京都撮影所)、福島一貴(東映京都撮影所)
メインテーマ・エンディングテーマ:吉川晃司
メインテーマ:「Brave Arrow」
エンディングテーマ:「焚き火」
発売元:ワーナーミュージック・ジャパン
音楽:ワンミュージック
制作協力:東映京都撮影所
制作著作:カンテレ
(c)カンテレ