「週末映画館でこれ観よう!」今週の編集部オススメ映画は『アドリフト 41日間の漂流』
リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、海より湖で育ってきた大和田が『アドリフト 41日間の漂流』をプッシュします。
『アドリフト 41日間の漂流』
新型コロナウイルスの影響を受けて公開延期となっていた本作が、海への気持ちも高まってきたこの頃にようやく公開。
『JAWS/ジョーズ』『タイタニック』と海が舞台となる名作映画を観るたびに海の恐ろしさに触れてきた。鑑賞する度に「海に近づかないし、船なんて絶対乗らない!!」と決意するが、夏が来るたびに、やはり自然と海に足が向いてしまうし、観光時にはちゃっかり乗船して適度に船酔いしてしまう……。上述した2作でトラウマに残ったのは、サメと、寒さで凍って沈んでいくレオナルド・ディカプリオの姿だったが、本作で感じたのは波、そして水の恐ろしさと、漂流してボロボロになっても生き延びていく奇跡だった。
本編は主人公のタミー(シャイリーン・ウッドリー)が、浸水した薄暗いヨット船内で目が覚める場面から始まる。テーブルや洋服が周りに散乱し、揺れ動く船内の海水に何度も足をとられながらも、「リチャード!」と婚約者を探し始めるタミー。なんとかヨットの外に出ると、穏やかな波、地平線はどこまでも続く美しい景色の中、壊れたヨットが漂う、絶望的な景色が広がっていた。
1983年、婚約したばかりのタミーとリチャード(サム・クラフリン)は、ヨットに乗り込みタヒチからサンディエゴへと旅に出た。しかし、途中で記録的なハリケーンに遭遇し、巨大津波に飲み込まれてしまったのだ。大怪我を負い波に漂うリチャードを発見し、極限状態の中、タミーはセーリングの知識を総動員し、陸を目指す。
本作は、タミー・オールダム・アッシュクラフトによる太平洋上で難破してから生還するまでの41日間に及ぶ過酷な漂流記をまとめた手記を映画化している。これが実話だということに心底恐怖を覚える。と同時に、とてもリアルな海の迫力と漂流時の過酷さを目の当たりにし、感動させられた。
本作は、実際に起こった集団遭難事故を3D映像で描いた『エベレスト 3D』を手がけたバルタザール・コルマウクル監督がメガホンを取っている。雄大で荒涼な自然の映し方や、漂流/遭難者たちの心情を、役者たちの姿や音、カメラワークで絶妙に表現している。