千葉雄大と伊藤沙莉の魅力が最大限に 最終回を前に『いいね!光源氏くん』制作統括に聞く

『いいね!光源氏くん』制作統括に聞く

 NHK総合の「よるドラ」枠にて好評を博しているラブコメディ『いいね!光源氏くん』が、23日に最終回となる最終絵巻「光くんばいばい?!」の放送を迎える。同名の女性コミックがベースの本作。『源氏物語』の登場人物、光源氏が地味に生きる現代のこじらせOLのもとに現れるという奇想天外な物語を、千葉雄大と伊藤沙莉の主演により、ふたりの魅力を最大限に引き出して成功した。

 最終回を前に、制作統括の管原浩氏に、新たな光源氏を登場させた本作の魅力や、映像化の肝となった千葉と伊藤のキャスティング理由、現場でのふたりの様子、制作秘話などを聞いた。

若者狙いが老若男女に支持されるドラマに


――「よるドラ」枠には、前作の『伝説のお母さん』や、再放送が始まる『腐女子、うっかりゲイに告る。』など、若者向けのイメージがありましたが、『いいね!光源氏くん』は老若男女を問わず人気になっています。

管原浩(以下、管原):今作ももともとは20代、30代の若い層を狙いたいと思って企画を選んだんです。それが蓋を開けてみると、50代の女性の視聴が多かった。普段朝ドラを観ている層といいますか。「雅なイケメンに惹かれるのは、若い人だけじゃないんだな。年齢層が上の女性たちも時めきたいんだな」と。若い視聴者はあとから追いついてきた感じです。男性の方も観てくれているのは、癒されたい人に響いたんでしょうね。

――女性コミックが原作です。どうしてこの作品を実写化しようと?

管原:まず「光源氏が現実世界に現れる」という一目瞭然の面白さがいい。ビジュアル的にも惹かれますし、企画募集の段階で、女性陣がすごく食いついてたんです。僕なんかは「光源氏っていろんな女性に手を出すんでしょ? みんな観てくれるの?」と思っていたので女性スタッフに聞いてみると、「こういう雅なイケメンだったら許しちゃうんですよ」と。「あぁ、そうなんだな」と勉強になりました(笑)。それに原作がイケイケな感じではなくて、非常にキュートなので、そこに倣えば面白いものになるんじゃないかと思いました。

見事にハマった千葉と伊藤のキャスティング

――光源氏がOLの家のソファに腰かけているなんて、それだけで笑えます。しかし、だからこそキャスティングが重要だったかと思います。特に光源氏。

管原:そうですね。実際に企画が動き出したのも、キャスティングの目途がついてからです。イケイケのカッコよさではなく、キュートさや純粋さといった光源氏像を考えたときに、千葉さんなら愛くるしい和み系の光源氏になるだろうと思いました。原作の絵柄とはちょっとイメージが違いますが、逆に実際の平安貴族は顔が少しふっくらしていますしね。それから千葉さんは大河ドラマ『平清盛』で高倉天皇の役もされていて、雅さも出せるだろうと。あと考えたのは沙織のキャスティングです。

――伊藤さんもぴったりです。

管原:現在、千葉さんは一皮むけてよりいい役者さんになっていますが、キャスティング当初は千葉さんがどれだけコメディっぽい演技ができるのか、雅さと面白さを両立したお芝居ができるのか、正直未知数なところもあったんです。なので沙織は、千葉さんの芝居を受け止めて、ちゃんと応え、突っ込んでくれる芝居のしっかりした人にしなければいけないと。伊藤さんは子役時代から芝居の上手さに定評がありましたし、すごくハマりました。

――伊藤さんのハスキーボイスもいいですね。

管原:千葉さんのちょっとぽわんとした空気感と、そこに伊藤さんがハスキーボイスで突っ込むのがいい噛み具合になりました。最初に本読みをしたとき、ふたりは初共演ですし、手探りな感じもあったんです。千葉さんは、光源氏という超有名ではあるけれど、実際のモデルは誰も見たことがない人物をどう演じようかと迷っていましたし。でも彼なりに膨らませていってくれましたね。対する沙織はセリフの量がすごく多い。伊藤さんも「こんなに心の声をバンバン言えるかな」と漏らしていました。現場に入ってからは、千葉さんと伊藤さんが一緒に相談しながら作られていました。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる