『JIN -仁-』『野ブタ。』に反響 過去作の再放送は若い視聴者をドラマの世界に誘う契機に?
幕末を舞台にコレラや梅毒との戦いを描いた『JIN-仁-』や、学園ドラマの枠組みの中でフェイクニュースの問題を先取りした『野ブタ。』は、今観る意義は充分にある。黒島結菜と伊藤健太郎の出世作で、誰もが楽しめる優れたジュブナイルドラマだった『アシガール』の放送には発掘良品的な意義を感じる。だが、他は近年のヒット作が中心なので、今後は低視聴率で埋もれてしまった良作や、テレビドラマの古典と言える山田太一や向田邦子の名作ドラマも是非、放送してほしい。
ドラマ評論の仕事をしていると、宮崎駿作品を筆頭とするスタジオジブリの劇場アニメが金曜ロードショーで定期的に放送されているアニメがとても羨ましくなる。
ジブリアニメはアニメファンにとっての共通言語となっており、80年代の『天空の城ラピュタ』や90年代の『もののけ姫』が世代を超えて観られている。しかし、過去作が顧みられることの少ないテレビドラマにおいては、視聴者が10歳違うだけで全く違う歴史観となり、共通言語と成りうる作品はほとんどない。
しかし、過去の名作が定期的に放送されていれば、視聴者だけでなく作り手にとっても大きな指標となりうる。
Paravi、Hulu、NHKオンデマンドといった有料配信サイトも悪くないが、テレビの良さは偶然の出会いが味わえることにある。再放送が充実すれば、偶然観た若い視聴者をドラマの世界に誘う大きな契機と成り得るはずだ。
■成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。
■放送情報
『JIN-仁- レジェンド』
TBS系にて放送 ※一部地域を除く
5月2日(土)14:00~16:54
5月3日(日)14:00~17:00
出演:大沢たかお、綾瀬はるか、小出恵介、桐谷健太、田口浩正、戸田菜穂、武田鉄矢、、中村敦夫、高岡早紀、六平直政、麻生祐未、小日向文世、中谷美紀(特別出演)、内野聖陽
パート2出演:市村正親、佐藤隆太、市川亀治郎、藤本隆宏
原作:村上もとか「JIN-仁-」(集英社『SUPER JUMP』)
脚本:森下佳子
演出:平川雄一朗、山室大輔、那須田淳、川嶋龍太郎
プロデュース:石丸彰彦、津留正明、中井芳彦
製作著作:TBS
(c)TBS
『野ブタ。をプロデュース』特別編
日本テレビ系にて放送
第4話:5月2日(土)22:00〜22:54
出演:亀梨和也、山下智久、堀北真希ほか
脚本 : 木皿泉
原作 : 『野ブタ。をプロデュース』白岩玄(河出書房新社)
音楽 : 池頼広
チーフプロデューサー : 池田健司
プロデューサー : 河野英裕、能勢荘志
演出 : 岩本仁志、北川敬一、佐久間紀佳
制作協力 : トータルメディアコミュニケーション
制作著作 : 日本テレビ
(c)日本テレビ