『サーホー』は世界の娯楽映画の趨勢を変える!? 『バーフバリ』ファンも“万歳”な内容に

『サーホー』は娯楽映画の趨勢を変える!?

 インド映画史上歴代最高の興行収入を記録し、その激烈な面白さに日本でも話題を呼んだ『バーフバリ』シリーズ。そのバーフバリ役を務めた主演俳優、プラバースがふたたび主演を務める超大作が、ついに日本で公開される。そのタイトルは、“万歳”を意味する『サーホー』だ。初公開時、インド映画ながらハリウッドの並み居るメジャー映画を抑え、『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』に次ぐ、世界興行収入オープニング第2位を記録した大ヒット作品である。

 それだけに期待も大きくなってしまう『サーホー』、果たしてどんな映画なのか? そして、『バーフバリ』シリーズのファンが“万歳”できる内容になっているのだろうか? ここでは、大きなネタバレを避けながら、その内容を語っていきたい。

 『バーフバリ』シリーズは、近年の映画作品のなかで、最も大きなインパクトを与えた一本だった。世界の様々な映画作品の娯楽要素をどん欲に集め、きらびやかで豪快なインド映画のセンスでまとめあげた内容は、もはや“王道”を超えて“天道”を走る、巨大な娯楽の火の玉のようであった。

『バーフバリ 王の凱旋』(c)ARKA MEDIAWORKS PROPERTY, ALL RIGHTS RESERVED.

 主人公たる偉大な王バーフバリは、ヒンドゥーの神話における暴風神ルドラのように激しく慈愛に満ち、神の化身クリシュナのように優雅でチャーミング。彼を称える音楽に乗りながら、凄まじいテンションで王国の危機を乗り越えてゆく。バーフバリを演じるプラバースは、まさにここで神を感じさせるカリスマ性を放っていた。

 その凄さに、天才監督S・S・ラージャマウリの手腕があったことは無視できない。黒澤明監督を彷彿とさせる、堂々としてダイナミックな娯楽演出にくわえ、ドイツやロシアで発達した表現主義的な演出によって、美的な象徴性が発揮されることで、作品は圧倒的な領域に到達したといえよう。

 韓国映画がアカデミー作品賞を獲得できるのなら、『バーフバリ 王の凱旋』(2017年)がもっと先に受賞していてもよかっただろうし、『スター・ウォーズ』の新シリーズをラージャマウリ監督が撮っていれば、どれほどの傑作が生まれていたかと想像してしまう。それほど、『バーフバリ』という存在は大きかった。

 さて、そんな超大作『バーフバリ』シリーズを受けて作られた、プラバース主演の本作『サーホー』はどうだったのだろうか。

 今回プラバースが演じるのは、現代の都市に生きる人物。300億円の窃盗事件を解決するため、ムンバイ市警察が呼び寄せた凄腕の犯罪捜査官・アショークだ。窃盗事件に関わる裏社会の人間たちとの戦闘における格闘術はもちろんのこと、鋭い推理力と優れた洞察力によって、犯罪現場から手がかりを見つけていく。

 それだけでなく、アショークは相棒である捜査官の女性アムリタ(シュラッダー・カプール)をも、スマートかつ積極的な態度と、あの“低音ボイス”を駆使しながら魅了していく。そう、プラバースは本作でもパーフェクト過ぎるキャラクターを演じているのだ。その魅力は、展開が進んでいくごとに凄みを増し、誰も止められない天井知らずの状態になっていく。物語のはじめこそオーソドックスな犯罪捜査アクションに見える本作だが、油断していると、誰も思いもしなかった怒涛の展開に突入していくのだ。

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