コワモテで悪役もこなす小澤征悦 『パパ恋』でコメディ要員として新たな魅力を発揮!?

 ハラハラするサスペンスやエグイ物語の多い「オトナの土ドラ」枠で、異色にも思える、ほのぼのコメディが放送されている。阿部潤の同名漫画(小学館)を原作とした『パパがも一度恋をした』(東海テレビ・フジテレビ系)だ。

 最愛の妻・多恵子(本上まなみ)を亡くして以来、絶望で自室にひきこもっている吾郎(小澤征悦)が、おっさん(塚地武雅)の姿を借りて蘇った妻・多恵子と再会。戸惑いつつも、少しずつ絆を確かめ合う、不思議な家族再生物語となっている。

 キャストが発表されたとき、まず適役だと確信したのは、「おっさん多恵子」を演じる塚地である。ハゲてこそいないものの、コロンとした小柄で丸いフォルムと滲み出る愛嬌は、原作のイメージ通りだし、多数のドラマ・映画出演経験から演技力の確かさもわかっている。

 実際、放送が開始されると、回を重ねるごとに「塚地がどんどん可愛く見えてきた」「塚地が本上まなみに見える」という声が増えてきている。表情や仕草を互いに寄せているところはあるだろうが、テレたときの「てへっ」という表情などに至っては、本上まなみよりむしろ塚地のほうが可愛く見えるから不思議だ。

 一方で、イメージが原作とは少々異なる気がしたのが、主演の小澤征悦だ。ヒゲは同じだが、線の細い原作・吾郎さんよりだいぶイカツイ雰囲気がある。しかし、結論から言うと、この小澤征悦が非常に良い。

 クマの尻のようにフサフサ剛毛の頭髪も、クマのような大きな体・大きな手も、クマのような大きな声も態度も(総じてクマのようだ)、本来は豪放磊落な印象を与える。しかし、そんな彼が、部屋の片隅で身体を丸めてうなだれていたり、柱の陰からこっそり心配そうにのぞいていたり、ストローの袋を手でイジイジと物憂げにいじったりしていると、それだけで哀愁が漂い、悲しくおかしい。

 本来はコワモテで、悪役もこなす彼だが、近年はコメディや物語の中のコメディ要員として新たな魅力を発揮している。

 小澤征悦とコメディの相性の良さが明確に示されたのは、『もみ消して冬 ~わが家の問題なかったことに~』(日本テレビ系)で演じた、山田涼介の兄役。エリートの天才外科医なのに、それを忘れるほどにナルシストで、厚顔無恥で、自分勝手で、エゴサ好きの小物感溢れる彼と、波瑠演じるドSの姉が主人公を振り回す様は息ピッタリで、清々しいほどだった。

 かと思えば、遊川和彦脚本の『ハケン占い師アタル』(テレビ朝日系)では、管理職を降格され、妻にも離婚されたエリートが見事にハマっていた。高い自尊心と傲慢さの一方で、実は繊細なハートの持ち主という面倒臭さを小澤が演じることで、同作の中でも最も人間臭く、悲しさとおかしさの漂う人物になっていたのだ。

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