伊藤健太郎と松下洸平の見事なセッション 『スカーレット』“子はかすがい”を体現した武志

『スカーレット』“子はかすがい”な武志

 13年ぶりに八郎(松下洸平)、喜美子(戸田恵梨香)、武志(伊藤健太郎)の3人が川原家に勢ぞろいし、見逃せない展開が続く『スカーレット』(NHK総合)。第119話では、武志の立ち回りで、喜美子と八郎の仲が急接近した。

 八郎は昔、陶芸展で入賞したときの作品を持ってきた。かつて喜美子との結婚を許してもらう際、常治(北村一輝)から入賞を条件づけられた陶芸展でのものだ。当時の話を武志に聞かせる八郎。両親ののろけ話に耐えきれなくなった武志は、おもむろにスクワットを始める。さらに、話しているうちに自ら恥ずかしくなった八郎もそれに続く始末。親と子の絆を感じさせるなんとも微笑ましいワンシーンだ。

 そんな中、喜美子へのお客さんを連れて住田(田中美央)が工房にやってくる。八郎がやってくる前から予定されていた訪問だったが、なんと連れてきたのは、辞めさせられたことを腹いせに夫婦ノートを盗んだかつての弟子、稲葉(永沼伊久也)と畑山(田中亨)だった。

 かつての自分たちの過ちを誠心誠意詫びに来た2人。聞けば彼らは和歌山で陶芸を続けており、今は穴窯に挑戦しているというのだ。かつての喜美子と同じように、穴窯に苦戦している2人は、喜美子の釜を見せてほしいという。

 同じ悩みに苦しんだ喜美子は、快くその頼みを聞こうとするが、そこに待ったをかけたのは武志だ。「教えられるもんちゃいますよ。釉薬の調合教えるうようなもんやろ。言うたら企業秘密ちゃうんか」とまくし立てる。確かに穴窯による自然釉は、喜美子の作家性の一端を示している。だが、喜美子が穴窯に成功した日から13年が経った今、それほど珍しい技術でもないようだ。

 八郎は、そんな心配をする武志に、喜美子の才能を「ほかの誰にもまねできへんもん作ってる。心配すな」と優しく諭す。武志にとって穴窯は、両親の仲を引き裂いた象徴だ。その成功によって、陶芸家としての喜美子を花開かせた成功を示すと同時に、武志自身から父親を奪い去った複雑な感情を抱かせていたのだろう。両親が別れたことに対して、武志自身が納得するための理由づけでもあったと言える。

 武志は、まだ父が母のことを深く理解し、高く評価していることを、喜美子に伝える。話を一息に聞いた喜美子は、八郎の元へ。他人行儀な態度をやめて、「普通にしよう」と提案する。そして話の流れでハグをすることに。“子はかすがい”を体現したような武志の働きを経て急接近した喜美子と八郎。勢いこのままに再び家族に戻れるのか。明日の放送が待ち遠しい。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『スカーレット』
NHK総合にて、2019年9月30日(月)~2020年3月放送予定
出演:戸田恵梨香、富田靖子、大島優子、林遣都、松下洸平、伊藤健太郎、福田麻由子、マギー、財前直見ほか
脚本:水橋文美江
制作統括:内田ゆき
プロデューサー:長谷知記
演出:中島由貴、佐藤譲
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/scarlet/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる