伊藤健太郎、作り手に求められる俳優に 『スカーレット』武志役で見せる“理想の息子像”

伊藤健太郎、作り手に求められる俳優に 『スカーレット』武志役で見せる“理想の息子像”

 連続テレビ小説『スカーレット』(NHK総合)第105話から、ヒロインの喜美子(戸田恵梨香)の息子・武志役で伊藤健太郎が登場し、話題を集めている。

 喜美子が夫である八郎(松下洸平)の反対を押し切り、借金をしてまで没頭した穴窯での作品づくり。7回目の挑戦で成功させ、陶芸家として名声を手に入れてからの7年の時の流れが、伊藤健太郎の繊細な演技によって浮き彫りになった。これまで歩んできた喜美子の波乱万丈な物語を武志の新たな視点から見つめ直すことで、ものづくりへの情熱と家族への愛の強さ、その葛藤が迫ってくるシーンが印象的だった。

 武志は、高校2年生になって進路の壁にぶつかることで、初めて自分の中だけにためてきた、父親・八郎への思いを喜美子に伝えた。子どもだった武志が欲しがっていたテレビジョンが川原家に来た日。「来たで、武志。やっと来たで」と喜美子に起された武志は、やっとお父ちゃんが帰って来たのだと勘違いしたこと。

 「お母ちゃんは陶芸家としてやりたいことをやって成功した代わりに、大事なものを失ったんや」と思わず吐き出した言葉に素直な気持ちがこめられていた。

 高校卒業後の進路で悩み、母である喜美子に「陶芸家になりたいんか」と聞かれ、陶芸が好きだからといって簡単に陶芸家になれるほど甘い世界でないと理解しているだけでなく、大切なものを失ってまで陶芸をやっていけるのか、自分にその覚悟があるのかがわからないと正直な心情を伝える。

 優しい性格に育った武志は、家族を不用意に傷つけたり、心配をかけたりすることを避けてきただけでなく、陶芸と真剣に向き合ってきたからこそ、離れてしまった両親に対する尊敬の気持ちをずっと持ち続けてきたということ。幼なじみの前ではおどけて、お母ちゃんに青臭いことを言ってしまったと後悔していた武志だが、そんな青臭さや思春期特有の憂いが見る者の心に刺さる。

 同年代には強い共感を呼び、過去に思春期を過ごした大人たちは甘酸っぱい追想にふけるなど、武志を演じる伊藤健太郎のまっすぐで強い眼差しは、大人になる一歩手前の心の揺れを細やかに映し出している。

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