第92回アカデミー賞ノミネーションを予想 インクルージョン政策と配信映画の現状はいかに?

 気がつけば2010年代もあと5日足らず。ハリウッドでは年が明けるとすぐにゴールデングローブ賞授賞式、そしてアカデミー賞のノミネーション発表が控えている。2020年の第92回アカデミー賞は例年よりも早く、2月9日(日本時間10日早朝)に開催されるが、それに伴いノミネーションも前倒しの1月13日(月)に発表となる。既に国際長編映画賞や長編ドキュメンタリー賞などは第一次予選とも言えるショートリストが発表になっていて、各団体の賞も決まりだしている。

 現在の賞レース結果や評判をもとに、2020年代最初のアカデミー賞にノミネートされる作品を予想してみよう。ちなみに、12月22日現在授賞式司会者は発表されていない。昨年は紆余曲折の末に司会者なし・プレゼンターのみで行われた授賞式がシンプルながらも映画の祭典に立ち返ったと好評だったので、今年も司会者なしになるのではないかという予想もある。下手に司会者を事前発表してしまうと、過去発言を取り上げて炎上させるツイッターポリスが手ぐすねを引いて待っているので、その方が賢明かもしれない。

助演女優賞

ローラ・ダーン 『マリッジ・ストーリー』
スカーレット・ヨハンソン 『ジョジョ・ラビット』
ジェニファー・ロペス 『ハスラーズ』
マーゴット・ロビー 『スキャンダル』
アネット・ベニング 『ザ・リポート』

次点:チャオ・シューチェン 『フェアウェル』

 ローラ・ダーン、スカーレット・ヨハンソン、マーゴット・ロビーの3人は今年特に目覚ましい活躍を遂げた女優たちで、他の作品でノミネートされてもおかしくない。ローラ・ダーンは『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』のミセス・マーチ役も好評だが、『マリッジ・ストーリー』の西海岸風イケイケ離婚弁護士は誰の記憶にも残るはまり役だ。という意味では、『ハスラーズ』のジェニファー・ロペスは一世一代のはまり役で、映画の特大ヒットにも寄与している。アネット・ベニングが演じたダイアン・ファインスタイン上院議員は、彼女に20年間仕えた補佐官が中国の諜報員に情報を流していた疑惑が糾弾されている。この映画は彼女が指揮する上院調査委員会がCIAの拷問捜査の事実を暴いていく政治サスペンスだが、現職大統領がウクライナ疑惑で弾劾されてしまった今、注目度が下がってしまっている。1月のサンダンス映画祭から走り続けている『フェアウェル』のナイナイことおばあちゃん役のチャオ・シューチェンは、インクルージョン枠として入ってくるかもしれない。

助演男優賞

ブラッド・ピット 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
ジョー・ペシ&アル・パチーノ 『アイリッシュマン』
トム・ハンクス 『A Beautiful Day in the Neighborhood(原題)』
アンソニー・ホプキンス 『二人のローマ教皇』

次点:ソン・ガンホ 『パラサイト 半地下の家族』

 先ごろ発表になったゴールデングローブ賞の助演男優賞(ドラマ部門、コメディ/ミュージカル部門共通)は上記5名が候補入りしている。おそらくこの5名で決まりだと思われるが、『アイリッシュマン』と『二人のローマ教皇』のNetflix映画から過半数が選出されることに難色を示すアカデミー会員が、ちょっと意地悪をするかもしれない。その場合に浮かび上がってくるのが、今年の台風の目と言われる『パラサイト 半地下の家族』。国際長編映画賞のショートリスト、さらには歌曲賞のショートリストに韓国語の曲(作詞はポン・ジュノ監督)が入るという快挙を遂げ、ノリに乗っている。ソン・ガンホはポン・ジュノ映画の顔とも言える俳優なので、助演男優賞候補入りもありえなくはない。

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