『ルパン三世 THE FIRST』が描いた“変わらなさ” 新しいフォーマットで生き続ける一味たち

 国民的アニメシリーズ『ルパン三世』の初の完全3DCGアニメ映画『ルパン三世 THE FIRST』が12月6日から公開されている。デジタルが浸透する前からペンタブでの作画も行い、デジタル漫画協会の発起人となり会長も務めていたモンキー・パンチ先生にとって『ルパン三世』の3DCG化は悲願だったという。

 そんな願いが叶い、2015年の夏に本作の制作はスタートした。山崎貴監督が監督を引き受け、絵コンテをストーリーリールの試写会も何度も行いプロットをブラッシュアップし、現在の物語が出来上がったのは2017年の11月だった。

 映像面もリアルにこだわるだけでなく、シリーズの特徴でもある手足の長いキャラクターたちによる荒唐無稽な動きを再現すべく、手付けアニメでアクションが描かれ、各国の『ルパン三世』ファンのアニメーターたちが集結。要所要所の場面では『カリオストロの城』からシリーズに関わるベテランアニメーターがコンテを書いたり、TVアニメシーズン2から参加し有名なテーマ曲を手掛け、世界観を決定づけた大野雄二が参加し60曲以上も作曲しているのもファンとしては嬉しい限りだ。

 4年にもわたる製作期間の間には今年4月のモンキー・パンチ先生、公開一週間前の11月29日の元祖・五右衛門役の井上真樹夫氏の逝去されるという悲しいニュースもあった。『ルパン三世 THE FIRST』は、そういった制作の裏側を知れば、とても熱く重いものを背負っている映画だということがわかるだろう。 

 本作は、『ルパン三世』シリーズがこれまで守ってきた定番的なストーリーとアクションで、気軽に楽しめる娯楽作になっている。いつもどおりルパンが圧倒的身体能力と機転で活躍し、次元はボヤきながら射撃の腕を発揮、五右衛門はクールになんでもぶった斬り、不二子はルパンを騙しながらも協力してくれ、銭形はそんな一味をどんな時でも愚直に追いかけ続け、時には共闘してくれる。

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