テーマは前作よりも現代的に 『ジュマンジ/ネクスト・レベル』が示す、“人間性”の重要度

『ジュマンジ』最新作の現代的なテーマ

 絵本を原作に、ボードゲームで起きた出来事が本当に起こってしまうという内容の、ロビン・ウィリアムズ主演ファンタジー映画『ジュマンジ』(1995年)。そのアイディアを基に、ボードゲームをTVゲームに置き換えて、高校生たちがゲームの世界に入り込んでしまうというアドベンチャー映画に蘇らせた新たな映画が、ドウェイン・ジョンソン主演の『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』(2017年)だった。これが、なんと世界で90億ドルを超える大ヒットを記録。ここまで観客に支持される作品になるとは、誰も思わなかったのではないだろうか。

 本作『ジュマンジ/ネクスト・レベル』は、そんな特大ヒットを受けて製作された、直接の続編だ。監督ジェイク・カスダンをはじめ、ドウェイン・ジョンソン、ジャック・ブラック、カレン・ギラン、ニック・ジョナス、そして高校生役を演じたキャストが再び集結。内容は、前作の設定をオーソドックスに踏襲するものには違いない。だが、描かれるテーマは、かなり現代的なものになっている。本作の内容を掘り起こしながら、その重要な部分を考えてみたい。

 呪われたゲームの世界で、ドウェイン・ジョンソン演じる筋肉ムキムキ、ブレイブストーン博士の姿になって大活躍した高校時代の経験を忘れられない、いまではニューヨークの大学生になっているスペンサーは、クリスマスに帰郷した際、ふたたびあの禁断のTVゲームに手を出してしまう。だが、修理されたゲーム機は万全ではなく“バグった”状態。操作するキャラクターをプレイヤーが選べず、スペンサーを助けに来た仲間たちも含め、一部不本意なキャラクターになって、ふたたび「ジュマンジ」の世界で冒険を繰り広げることになる。

 表面的には、近年ではむしろ珍しいくらい、“よくある続編”といった風情だ。そのなかで目につく変化といえば、ダニー・グローヴァーとダニー・デヴィートの“おじいちゃんコンビ”が、同じくゲーム世界に吸い込まれ、孫世代とともに冒険するというところ。それぞれに若い肉体になり、ゲームの中では、もはや演じているキャストがダニー・グローヴァーとダニー・デヴィートではないのだが、TVゲームの知識が全くない彼らが孫世代のプレイヤーたちに何度も同じことを聞いてしまうという、コント番組のようなくだりは、いちいち笑えてしまう。

 新キャストとして最も輝いていたのが、盗賊のスキルを持つキャラクターを演じた、アジア系の女優でラッパーでもあるオークワフィナだろう。アジア系出演者で占められたことが話題になったアメリカのロマンティック・コメディ『クレイジー・リッチ!』(2018年)で、口の悪い主人公の友人役を魅力的に演じていたことが記憶に新しい。本作でも見事なコメディ演技で笑わせてくれ、さらにはゲームクリアのための重要な役回りも引き受けている。

 このように、おじいちゃんたちや、アジア系の女性が加わったことで、本作は前作でも描かれていたテーマ、“多様性”がさらに強調され、明確な像を持った作品となった。それは、“ゲームの中で自分とは違う人間になれる”という、もともと前作からのシリーズが持っていた設定のポテンシャルが活かされたことを意味する。

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