「週末映画館でこれ観よう!」今週の編集部オススメ映画は『殺さない彼と死なない彼女』

「週末映画館でこれ観よう!」今週の編集部オススメ映画は『殺さない彼と死なない彼女』

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、リアルサウンド映画部のピュアガール担当・大和田が『殺さない彼と死なない彼女』をプッシュします。

『殺さない彼と死なない彼女』

 今までいろんな少女漫画原作のラブストーリーの映画をみてきました。ただ、この作品は、壁ドンがあるわけでもなく、ヒロインがイケメン2人の間で揺れ動くこともなく、幼馴染でいつも側にいる男の子が最終的に身を引く展開だったり、元カノが出てきたり、周りの誰かの策略で結ばれるはずの2人がすれ違ったり、といったようなラブは描かれません。鹿野と小坂が交わすのは「死にたい」「殺すぞ」「死ね」という会話で、ヒロインはゴミ箱を漁り、2人の初めての共同作業はハチの埋葬。文字でこう伝えてしまうと、なんともダークな展開から幕をあけるのです。

 本作は、SNSに投稿した4コマ漫画が話題となったSNS漫画家・世紀末の処女作にして代表作『殺さない彼と死なない彼女』(KADOKAWA刊)を実写映画化したラブストーリー。何にも興味が持てず、退屈な学生生活を送っている高校3年の小坂れい(間宮祥太朗)が、ある日、校舎でハチの死骸を埋葬しているクラスメイト・鹿野なな(桜井日奈子)に出会います。虫の命を大切に扱う心優しい一面を持ちながら、ネガティブな言動で周囲から孤立し、リストカット常習者で“死にたがり”の鹿野に興味を抱く小坂。“ハチの埋葬”をきっかけに、2人は一緒にいることがあたりまえになっていく。

 ふらっと試写会に行くと、不意打ちをくらい涙が溢れて仕方がありませんでした……。屋上や帰り道のシーン、鹿野と小坂には、2人だけの意味で分かり合える言葉、通じ合える空気感をあるようでした。物語が進むと、お互いがより素直に気持ちを伝えられるようになっていきます。けれど、前半のまだぶっきらぼうに言葉を交わし合う2人にこそ、自然体のままでも理解しあっている仲を感じられました。

 そして、同時進行で映し出されるきゃぴ子(堀田真由)と地味子(恒松祐里)、撫子(箭内夢菜)と八千代(ゆうたろう)も、鹿野と小坂のように通じ合う2人組。6人それぞれを見ていて感じたのは、笑い合ったり、悩みを相談するのではなくて、お互いが相手に自分の弱さを見せられることが、友人同士、恋人同士の絆を強めているということでした。

 ネガティブなキャラクターが見事にハマっている桜井さんとそっけないセリフを絶妙なテンポで繰り返す間宮さんのやりとり。箭内さんの「好き」を連続する告白シーンの破壊力、それをサラッと嫌味なくフりまくるゆうたろうさんのポーカーフェイスぶり。そして堀田さんと恒松さんの互いを思い合う友情と愛らしい笑顔。役者の魅力が存分に反映されたキャラクターたちの群像劇からは、桜井さんがインタビューで話していた「本当の自分を受け入れてくれる人って、たくさんはいなくていい」の意味がきっとわかるはず。そうなりたい相手とぜひ劇場に足を運んでみてください。

■公開情報
『殺さない彼と死なない彼女』
全国公開中
出演:間宮祥太朗、桜井日奈子、恒松祐里、堀田真由、箭内夢菜、ゆうたろう、金子大地、中尾暢樹、佐藤玲、佐津川愛美、森口瑤子
監督・脚本:小林啓一
原作:世紀末『殺さない彼と死なない彼女』(KADOKAWA刊)
配給:KADOKAWA/ポニーキャニオン
制作プロダクション:マイケルギオン
製作:「殺さない彼と死なない彼女」製作委員会
(c)2019映画『殺さない彼と死なない彼女』製作委員会
公式サイト:http://korokare-shikano.jp/

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

音楽記事ピックアップ