『シャーロック』第3話と『グロリア・スコット号』の共通点 「守谷=モリアーティ」も登場?

『シャーロック』ついに“モリアーティ”も登場?

 空き家で見つかった死体と、そこから浮かび上がる5年前の“地面師詐欺”事件。前提として頭に入れておきたいのは、この“地面師詐欺”というあまり聞き慣れないフレーズ。端的に言えば土地などの不動産の持ち主のふりをして勝手にそれを転売するという手口で、序盤で獅子雄(ディーン・フジオカ)が語るように何年も人が寄り付かなくなった空き家が増え、さらに地価が上がっている東京では近年被害が増加してきているようだ。

 10月21日に放送されたフジテレビ系列月9ドラマ『シャーロック アントールド・ストーリーズ』では、この時事ネタとも言える地面師詐欺事件に殺人事件を絡めながら、『シャーロック・ホームズ』の要素も織り交ぜていく。1時間の放送に収めるにはあまりにも濃密な情報量のエピソードとなった。

 これまでの前2話では、それぞれ『六つのナポレオン』の「アバネティ家の恐るべき事件」と『ボヘミアの醜聞』の「ダーリントンの替え玉事件」と明確に“語られざる事件”がモチーフになっていると一目でわかる展開が用意されていたが、今回は少々それがわかりづらい。おそらくは、事前に本ドラマの中で扱うことが明らかにされていた5つの“語られざる事件”のひとつであった『オレンジの種5つ』の中に登場する「タンカーヴィル・クラブの醜聞事件」がモチーフになっているのではないだろうかと考えられる。原作では、この「タンカーヴィル・クラブの醜聞事件」は序盤の会話の中で登場していた。

 「お噂はかねがね、ホームズ先生。お話をプレンダギャスト少佐から。先生はあの方をタンカヴィル倶楽部の醜聞からお救いになったとか」「その通り、少佐はトランプでイカサマの濡れ衣を着せられた」(引用:青空文庫/加藤朝鳥訳・大久保ゆう改訳)。

 この『オレンジの種5つ』の事件は犯罪組織が絡んでくる事件であるということや、今回参考人として獅子雄たちが接触し、周囲からの疑念が晴れる人物の名前がどことなくプレンダギャスト(翻訳によっては「プレンダーガスト」と訳されているものもある)をもじったように見える“古田和人(岡田義徳)”だったりといった共通点が見受けられるが、どこか繋がりが弱い。

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