『ガリーボーイ』監督が語る、インドのヒップホップを描いた理由 「共感できる部分は必ずある」

『ガリーボーイ』Z・アクタル監督が語る

「今は、映画を作るのにとてもいい時代」

ーー本作ではオリジナル楽曲も効果的に使われていますが、本作と楽曲の間ではどのような関係を目指しましたか?

アクタル:映画と音楽のバランスは、まさにカーペットの刺繍のように、自然にシーンの背景に溶け込むよう気をつけました。歌詞と、シーン内の主人公の気持ちが連動していないといけない一方で、その関係が分かりやすすぎても面白くないんです。

ーー本作を作るにあたって苦労した部分は?

アクタル:本作では、新人のアーティスト……ラッパーだけじゃなくてプロデューサーや作詞家、ビートメイカーを初めて紹介しているんです。彼らはアーティストですから、今まで映画の仕事をしたこともないし、10代の人だっている。そんな人たちをある意味で映画デビューさせるのは大変でした。本作が公開されたことで、出演してくれたアーティストのファンベースが増えたことは嬉しかったです。

ーーアクタル監督はインドで制作するNetflixオリジナル作品のプロデューサーを務め、アカデミー賞会員の招待も受けるなど、インド映画界を代表する監督の一人であるとも言えます。インド映画の現在の盛況をアクタル監督も感じていますか?

アクタル:インド映画界において今は、映画を作るのにとてもいい時代だと思います。スクリーン数も増えて、むしろ上映するトピックを探しているような状況なんです。なので資金面も良好ですし、Netflixなど配信サービスの影響で、鑑賞者のテイストも多様化し、作るプロダクトにおいても様々な冒険ができるようになりました。女性監督もどんどん増えています。

ーーインドでも多様化の動きが起こっているんですね。

アクタル:インドでも去年、#MeTooの旋風が吹き荒れて、映画界も大きく変わりました。とても大事なことだと思います。声をあげた女性たちは素晴らしいですね。制作会社でも、ガイドラインを作るようになったり、今まで意識していなかった点を話し合うようになりました。様々なハラスメントにどう対処するか考えるようになったのはとても喜ばしいことだと考えています。一方でその対処が十分かというとまだまだなので、男子を正しく育てる、ということが今必要だと思いますね。

ーー『ガリーボーイ』も、これまで階級や差別を意識してこなかった人が観ることで学べる部分があると思います。

アクタル:自分にとって親近感のない題材だと思ったとしても、人の根源である感情の部分で、この映画から何か感じとってもらえたら嬉しいです。どんなに知らない文化でも、なにかつながりを持てれば、共感できる部分は必ずあると思います。

(取材・文・写真=島田怜於)

■公開情報
『ガリーボーイ』
新宿ピカデリーほか全国公開中
主演:ランヴィール・シン
監督:ゾーヤー・アクタル
出演:アーリアー・バット、シッダーント・チャトゥルヴェーディー、カルキ・ケクラン
配給:ツイン
2018/インド/154分/日本語字幕:藤井美佳/字幕監修:いとうせいこう/5.1ch/シネスコ/原題:Gully Boy
公式サイト:gullyboy.jp
公式Twitter:@gullygullymein



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