野村周平×ANARCHY監督が語る『WALKING MAN』での挑戦 野村「初心に戻されました」

 ANARCHY「(野村周平は)完璧ですよ」


ーー現場での印象的なエピソードは?

野村:一度だけお互い険悪なムードになった時があったんですよ。川崎のチネチッタで朝まで待たないといけない状況になってしまって。僕もANARCHYさんもイライラして、プロデューサーに対して怒っているという(笑)。でも、そのうちANARCHYさんの先輩や後輩もエキストラでいらっしゃって、僕もANARCHYさんも「イライラしても、しょうがない。撮影まで頑張ろう」と思えて、一件落着しました。

ANARCHY:当初は「本当なら12時に終わったのに朝まで待つ!? え?」みたいな(笑)。

野村:でも、なんだかんだそんなには待たなかったですよ。なんで怒るかって、その翌日も朝7時に起きなあかんっていう(笑)。

ANARCHY:あの時のトラブルがあったからこそ、できる限り努力しようというモチベーションは改めて上がったな。以降の現場の空気も良くなったから、結果としてはよかったのかもしれない。

ーーANARCHY監督から見た、野村周平という俳優の魅力はなんでしょう?

ANARCHY:かっこいい。まず、それが第一。でもそんなかっこいいやつが、ダサくて、頼り甲斐なさそうなアトムを見事に演じている。俳優からしたら、当たり前のことなのかもしれないですけど、僕からしたら当たり前じゃないことだし、一緒に仕事してみて、リスペクトするところがすごくありました。完璧ですよ。

野村:いやいや、そんな(笑)。

ーー野村さんから見た、ANARCHY監督の魅力は?

野村:場をまとめるという意味では、誰も楯突こうとは思わないですよね(笑)。それは冗談ですけど、現場での佇まいが素晴らしかったです。助監督、俳優、スタッフみんなの気持ちを考えて、その現場での最善策を頭でずっと巡らせて、それを選んで。頭の中ではぐちゃぐちゃになっていたとは思うんですけど、それを乗り越えてやっていたので、監督として素晴らしいです。これから、どういう作品を撮るのか気になりますね。

ANARCHY:次の作品のアイデアも、もう練っています。ものづくりが好きなので、形にしたいと思ったら形にしないとダメだし、苦もないんですよね。実際にやってみると大変なんですけど、また何かすぐに作りたくなる。

ーー本作の反響も楽しみです。

ANARCHY:より広く、たくさんの人に観て欲しいです。映画って人生の一部分になり得るんですよね。「ヒップホップ映画」と囚われず、ヒップホップ・ラップを知ってもらう手段の一つ、若い人たちが勇気を持つための作品の一つ、大人たちが忘れていたものを思い出すための作品の一つ……『WALKING MAN』が誰かにとってそういうきっかけになれたら成功だと思っています。

野村:今の人たちって、「何が好き?」って聞かれても「いや、別に好きなものないかな」っていう人が多い気がするんですけど、好きなものが一つあると、それが人生を助けてくれるんですよね。僕は、スケボーだったり車だったりバイクとか好きなものがたくさんあるんです。なにか一つ好きなものを信じて追求していけば、自分を変えることができる。そのことを分からせてくれる映画だと思います。

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