『スター・ウォーズ』パルパティーン登場の意味とは? ダークサイドの歴史から考える 

 話は戻るが、そもそもパルパティーンは、どのように復活を遂げるのか。フォースの霊体としてではなく、『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還』(1983)の時からずっと、生きていたとすれば……。前述の通り、パルパティーンの師であったプレイガスはフォースのすべてを探究し、死を克服する術を持ち合わせていた。その知識は、弟子のパルパティーンにも受け継がれている。これは、アナキンをダースサイドに惑わすための狂言である可能性も否定はできないが、これが事実であればパルパティーンは、プレイガスの知識を利用して、自らを死から救った、あるいは、さらなる弟子にこの術を伝授しており、その弟子がパルパティーンを蘇らせたのではないか、という可能性も否定しきれない。

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(c)2017 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

 これまでの映画作品を通じて、シスが霊体化した描写はないため、フォースの霊体として登場できるのはライトサイドに属するジェダイだけと予想される。いずれにせよ、次作で登場するパルパティーンは、霊体ではない別の形で登場することとなりそうだ。パルパティーンがこれまでそうしてきたように、レイをダースサイドに招き入れる可能性も否定はできない。というのも、トレイラー第2弾では、黒いローブに、赤く光るダブル・ライトセーバーを持った、暗黒面のレイが映し出されているからだ。

 前作『最後のジェダイ』では、光と闇、そして、その中間を意味する“バランス”という言葉が印象的に用いられていた。とすると、レイは闇の部分も受け入れることで、ライトサイドの力とダークサイドの力の両方を会得し、光でも闇でもない中間に位置する存在、すなわち「フォースにバランスをもたらす存在」となるのか。であれば、監督のJ・J・エイブラムスが言うように、パルパティーンという最強のダークサイドの登場はサーガの完結編に必要不可欠であるといえるだろう。

■Hayato Otsuki
1993年5月生まれ、北海道札幌市出身。ライター、編集者。2016年にライター業をスタートし、現在はコラム、映画評などを様々なメディアに寄稿。作り手のメッセージを俯瞰的に読み取ることで、その作品本来の意図を鋭く分析、解説する。執筆媒体は「THE RIVER」「IGN Japan」「映画board」など。得意分野はアクション、ファンタジー。

■公開情報
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』
12月20日(金)全国ロードショー
監督・脚本:J・J・エイブラムス
配記:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(c)2019 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.
公式サイト:https://starwars.disney.co.jp/movie/skywalker.html

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