『時効警察はじめました』インタビュー

オダギリジョー×麻生久美子、今だからこそ明かす『時効警察』秘話と三木聡監督への特別な思い

オダギリ「古い仲間に会えたという感覚でした」

ーーこれまでの撮影を通して、『時効警察』に戻ってきたと感じた瞬間や、あるいは新シリーズならではだと感じた部分は?

麻生:時効管理課のみなさんと掛け合いするシーンは「あー、そうそう、こういう感じだったな」と当時を思い出しましたね。吉岡里帆さんや磯村勇斗さんなど新しい若手のキャストの方が入ってくださったので、新しい風を感じる部分もあります。

オダギリ:三木さんの独特なギャグや笑いどころは三木さんにしか書けないものなので、僕も台本を読んだ時には「あぁ、懐かしいな」と嬉しくなりました。麻生さんとのシーンが多いので、2人でやりとりする空気感も当時を思い出しました。

ーー新しく新鋭の映画監督たちが演出や脚本で参加しています。それぞれ現場でのやり方も違うと思いますが、どうでしょうか?

オダギリ:みなさん、12年前の作品を知った上で参加してくださっていると思うので大変ですよね。もともとある世界観の中で自分らしさを出してくださいと言われても、出し過ぎると「時効警察らしくない!」とか言われるんでしょうし。そういう意味では、バランスを考えながら、やりにくさもあるんじゃないかなとは思います。

麻生:私たちは前から同じ役をやらせていただいているから、監督のほうが大変だと思いますが、みなさん楽しそうにやってくださっています。今泉(力哉)さんが頭を抱えていたのは面白かったけど(笑)、愛情があって真剣だからこそ悩んでいたのかなと。

オダギリ:監督によっては年下の方もいて、新鮮でしたね。12年前は園(子温)さんはじめ年上の方たちでしたけど、今回はやっぱり頼られることも出てくるので。三木さんは生みの親ですから僕らもアドリブはほとんどなく、「てにをは」も変えていないくらいなんですが、他の方が演出の回では、逆にアドリブで時効警察らしさを加えてほしいと言われました。

ーー三木監督の作品に久しぶりに帰ってきていかがでしたか?

オダギリ:僕は『熱海の警察官』(テレビ朝日系、2010年)ぶりです。すごく久しぶりに、同窓会という感じでもないですけど、古い仲間に会えたという感覚でした。スタッフもキャストも、当時の方が多いので嬉しいですよね。12年を経て再び集合できることは、なかなかないことですから。

ーー2000年代後半でいうと、オダギリさんは三木監督の『転々』(2007年)で主演し、『時効警察』にも参加している岩松了監督の『たみおのしあわせ』(2008年)で麻生さんと再共演したりと、近しい人たちと一緒に作品を作っていた時期だったのかなと。

オダギリ:確かにそうですね。あの頃は、面白い人たちと面白いことをやりたいという気分だったんでしょうね(笑)。そのあとは逆に海外の作品に参加するようになり、ブラジルや中国、韓国に行ったりして、だいぶ遠のいてしまったのかもしれません。コメディ的なものをやるのも、久しぶりかもしれない。

ーーコメディを今やるというのは、どういう意義を感じていますか?

オダギリ:でも、それは「誰とやるか」ですね。三木さんとだったらどういうふうになるかもわかりますし、もともと三木さんの作っている作品が好きだったので、そこは心配も何もなかったです。

ーー麻生さんも『時効警察』のあと三木監督の『インスタント沼』(2009年)で主演をされており、昨年の『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』(2018年)で久しぶりに三木さんの作品に帰ってきました。

麻生:『音タコ』で久しぶりにご一緒して、その時に「三木さんの作品って面白いなぁ」ってしみじみと感じました。失礼かもしれないですけど、「私に合う!」と思っちゃうんです。セリフを言っていても楽しいですし、心地よいんですよね。三木さんは楽しそうに演出される方だし、できあがった映像を見ても面白くて大好きなんです。

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